![]() 所望の生成物の収率および特性を改善するために添加剤をコーキング法に導入するシステムおよび方法
专利摘要:
添加剤をコーキング法で使用されるコークス化用容器に添加して、このコーキング法から得た生成物の量、収率特性、特性または質の修正を行う。添加剤は、触媒、播種剤、過剰反応体、急冷剤、キャリアまたはその任意の組み合わせを含んでおり、反応速度を修正して、コーキング法の様々な炭化水素化合物を高価値の高品質生成物に優先的に転化する。 公开号:JP2011512446A 申请号:JP2010546958 申请日:2009-02-17 公开日:2011-04-21 发明作者:アウグスト・ロドルフォ・クイノネス;ロジャー・ジー・エッター 申请人:ロジャー・ジー・エッター; IPC主号:C10B57-12
专利说明:
[0001] 本発明は、一般に熱的コークス化プロセス(コーキング方法)の分野に関し、より詳細にはコークス化プロセスの生産収率および/または生成物の特性を改善するための石油精製熱的コークス化プロセスの改良に関する。本発明の典型的な実施形態はまた、一般に燃料、陽極、電極または他の特別な炭素生成物及び市場に対し独特な特性を有する様々な種類の石油コークスの製造に関する。] 背景技術 [0002] 熱的コークス化プロセスが1930年代に開発されて、原油精製所が「バレルの底部」を処理するのに役立っていた。一般に、現在の熱的コークス化プロセスは、高度に厳しい熱分解(または「クラッキング」)を用いて、極めて重質で、価値の低い残油材料のより高い価値の低沸点炭化水素生成物への転化を最大化する。これらコークス化プロセス用の供給原料は、経済的にさらに蒸留、触媒クラッキング、またはさもなければ、燃料用混合流をつくるように処理することができない精製プロセス流れからなる。典型的には、これらの材料は、触媒汚染および/または灰および金属による失活のために触媒操作に適していない。一般的なコークス化供給原料としては、常圧蒸留残油、真空蒸留残油、接触クラッキング残油、水素化分解装置の残油、および他の精製ユニットからの残油がある。] [0003] 重質油留分(またはシェール油もしくはタールサンドからのビチューメン)を軽質炭化水素および石油コークスに転化させるために原油精製所(および改良設備)に現在用いられる現代のコークス化プロセスには3つの主要なタイプ、すなわち遅延コークス化(ディレードコーキング法)、流体コークス化(フルードコーキング法)およびフレキシコークス化(フレキシコーキング法)がある。これら熱的コークス化プロセスは、当業者には珍しくない。これら三つのコークス化プロセスすべてにおいて、石油コークスは、精製残油の軽質炭化水素化合物へのより完全な転化のために容認されている副生成物と考えられ、本明細書全体で「分解液体」と称する。これら分解液体は、通常華氏350〜950度の沸点を有するペンタンから複雑な炭化水素まである。これら三つのコークス化プロセスすべてにおいて、「分解液体」および他の生成物がコークス化容器から精留塔まで蒸気の形で移動する。重質分解液体(例えば軽油)を、輸送燃料配合油に変える更なる精製処理(例えば流体接触分解ユニットまたはFCCU)用の供給原料として用いる。] [0004] 原油精製所は、通常重質原油を利便性が高く低コストであるためその原油混合物で使用することを増大している。これら重質原油は、相当割合の「バレルの底部」成分を有し、コーカー容量の必要性を増加させる。したがって、コーカーはしばしば精製処理量を制限する精製所の障害となる。これら重質原油はまた、より高濃度の硫黄、窒素並びにバナジウムおよびニッケルのような重金属を含む大きな芳香族構造(例えばアスファルテンおよび樹脂)のより高濃度をしばしば含む。その結果、コークス化反応(または機構)は実質的に異なり、石油コークスおよびコーカー軽油に高濃度の不所望な汚染物を有する高密度で、一回分(スポンジに対するショット)のコークス結晶構造(または形態)を生成する傾向がある。したがって、これら三つのコークス化プロセスは、長年の間そのそれぞれの技術に多くの改良を持って発達してきた。] [0005] 多くの製油所は、コーカーの障害を軽減するための技術改良に頼ってきた。いくつかの製油所は、その真空原油塔を修正して、原油バレル当たりの減圧軽油(例えば華氏1050度以上)の生産を最大化し、コークス化プロセスへの供給(例えば真空減圧原油またはVRC)を減らし、コーカー容量を軽減していた。しかし、これは一般に不十分で、コーカープロセス技術における改良がしばしばより効果的である。遅延コークス化において、技術改良はサイクル時間、リサイクル率および/またはドラム圧力をヒーター出口温度の上昇を伴ってまたは伴わないで減少させることに集中して、コークス生産を減少し、コーカー容量を増加させた。同様の技術改良が、他のコークス化プロセスにおいても起こった。] [0006] 加えて、コーカー供給原料をしばしば修飾して一回分のコークス生産、すなわちコークスをコークス化容器の外側で切断する際の「ホットスポット」または蒸気の「ブローアウト」に伴う安全性の問題を軽減する。多くの場合、FCCUからのデカントスラリー油、重質循環油および/または軽質循環油をコーカー供給原料に加えて、スポンジコークス形態を増やす(すなわち、一回分のコークス生産を減少させる)。このスポンジコークスの増加は、通常一回分のコークスに伴う安全性の問題(例えば、ドラムから転がり出る、詰まったドレン化容器など)を軽減するのに十分である。また、スポンジコークスの増加は、急冷のより良好な冷却効率を可能にするに十分な空隙率を付与して、コークス切断の前に十分に冷却されないコークスの局部領域による「ホットスポット」および蒸気「ブローアウト」を回避することができる。しかし、これら材料のコーカー供給原料への添加はコークス化プロセス能力を減ずる。] [0007] 不運なことに、これら多くの技術改良は、生成する石油コークスの質を大幅に下げる。ほとんどの技術改良と、重質サワー原油は、石油コークスを多孔質の「スポンジ」コークスから高濃度の望ましくない不純物:硫黄、窒素、バナジウム、ニッケルおよび鉄を有する「ショット」コークス(共に業界用語である)に進める傾向がある。いくつかの製油所において、コークス質の変化は、コークス市場における大きな変化(例えば燃料用に対する陽極)を要求し、またコークスの価値を劇的に下げ得る。他の製油所においては、技術の変化と、それに伴う供給原料の変化とが、低い揮発性物質(VM)、総発熱量(GHV)およびハードグローブ粉砕率(GHI)を有する燃料用コークスの質を低下させた。これらの要因はすべて、燃料用コークスを米国において望ましくないものとし、かかる燃料用コークスのほとんどが近い特性の石炭燃料利用ボイラーがあるにも関わらず海外に輸出される。このように、コークスの価値はさらに低下する。] [0008] より重要なことに、これら多くのコーカー技術改良が下流接触分解ユニットでさらに処理される軽油の質を大幅に低下させる。すなわち、コーカー軽油の最重質または最高沸点成分(当業界でしばしば「重質テール」と呼ぶ)は、これら製油所の多くにおいて大きく増加する(特に重質サワー原油と共に)。逆に、これら増加した「重質テール」成分は、下流接触分解ユニットの効率を大きく低下させる。多くの場合、この「重質テール」成分は、高いコークス性向を有し、硫黄、窒素および金属の残存不所望汚染物質のほとんどを含む主として多環式芳香族炭化水素(またはPAH)である。下流接触分解ユニット(例えばFCCU)において、「重質テール」成分のこれら不所望な汚染物質が下流生成物プールにおける汚染物質を大きく増加させ、精製アンモニア回収/硫黄プラントの能力を消費し、FCCU再生器からの硫黄酸化物および窒素酸化物の排出を増加させ得る。加えて、コーカー軽油のこれら問題のある「重質テール」成分は、触媒上のコークス、触媒の被毒、および/または活性触媒部位の遮断もしくは占領を増加させることによってクラッキング触媒を著しく失活させ得る。また、触媒上のコークスの増加は、より厳格な再生を要求し、準最適な熱バランスおよび触媒再生をもたらす。さらに、より厳しい触媒再生がしばしばFCCU触媒消耗を増加させ、より高い触媒補給率およびFCCUからの高い粒子排出になる。その結果、すべてのコーカー軽油が等しく生成するわけではない。過去には、多くの製油所において精製収益最適化コンピュータモデル(例えば線形プログラミングモデル)が品質に関係なく軽油に対して同じ値を与えた。これは、下流接触分解ユニットにおいて問題を起こし、効率を下げるにも関わらず、コーカーにおける軽油生産を最大化する傾向があった。幾つかの製油所は、下流処理ユニットの性能を減ずる軽油の価値を適当に下げるようにかかるモデルのベクトルを置き始めている。] [0009] 下記の特許文献1は、炭化水素供給原料をコークス化ドラムに入れて蒸留収率を増加させコークス生成を減少させる前に少量のクラッキング触媒および水素を前記原料に加える遅延コークス化プロセスを開示している。触媒は、コークス中に沈降し、コークスの利用に影響を与えない。] [0010] 下記の特許文献2は、少量の水素および水素転化触媒、水素化触媒および/または水素化分解触媒を、頁岩油材料および石油残油からなるコーカー供給原料に加えて液体生成物の収量を上昇させる遅延コークス化プロセスを開示している。] 先行技術 [0011] 米国特許第4394250号明細書 米国特許第4358366号明細書] 発明が解決しようとする課題 [0012] コーカー供給原料での触媒の不都合点:この既知の技術は、触媒を本発明の反応体と大幅に異なる化学的および物理的特性を有するコーカー供給原料へ添加する。既知の技術のコーカー供給原料は、通常1000°F以上の理論上の沸点を有する非常に重質の芳香族(例えば、アスファルテン、樹脂など)からなる。このように、既知の技術の触媒に露呈した主要な反応体は、一層高いコークス性向(クラックに対し)、特にコーカー供給原料中の高いバナジウムおよびニッケル含有量への暴露を有する重質芳香族である。さらに、コーカー供給原料における鉱物質は、さらにコークス化を促進する播種剤として機能する傾向がある。コークス供給原料におけるカルシウム、ナトリウムおよび鉄の化合物/粒子は、とくにコーカー供給ヒーターにおいてコークス化を増加させることが既知である。] [0013] 物理的な観点から、既知の技術の主要な反応体は、コーカー供給ヒーターへの入口で非常に粘性の高い液体(ある部分は準固体)である。ヒーターを通りコークスドラム内への供給原料は、主として熱い液体、固体(供給鉱物およびコークス化から)、および蒸気(コーカー供給クラッキングから)となる。ドラムへの入口での多相材料の温度は通常900〜950°Fである。] [0014] 既知の技術の商業的な用途(すなわち、遅延コーカー供給原料における触媒)において、過剰なコークス化の問題が挙げられる。] 課題を解決するための手段 [0015] したがって、本発明の典型的な実施形態は、(1)コーカー生成物の量またはコーカー生成物の全体的な収率分布を改善し、(2)一つ以上のコーカー生成物の品質または特性を改良し、(3)コークス化プロセスの操作、維持、処理能力、効率および/または処理代替物を改良し、(4)他の精製処理ユニットに対する操作、維持、処理能力、効率および/または処理代替物を改良し、および/または(5)原油精製または性能向上システムに対するさらなる接触分解能力を提供する。] [0016] 本発明の典型的な実施形態は、様々なタイプのコークス化プロセス生成物(例えば、分解液体、コークスおよび/またはガス)の収率を増加または減少させることができる。本発明の典型的な実施形態は、接触添加剤(意図的に)を有効に用いて、ナフサ、軽質軽油、重質軽油、液体石油ガス(例えばプロパンおよびブタン)、オレフィンガス、燃料ガス、水素およびコークスを限定するなく含む様々なタイプの望ましいコークス化プロセス生成物の増加または減少を行うことができる。接触添加剤は、熱的クラッキングおよび通常のコークス化プロセスの熱的コークス化反応のコークス化プロセス供給原料または生成物(中間および最終)における化学化合物を他のタイプの化学化合物または所望の生成物に転化させるように設計することができる。このように、触媒特性を変更して所望の反応を実行することができる。例えば、コークス化プロセスに加える接触添加剤は、コークス化プロセス供給原料の熱分解(コークス化プロセスにおいてコークスを普通形成する)からの化学化合物を分解液体またはガス生成物に転化させる。或いはまた、接触添加剤を有効に用いて、価値のある「分解液体」を一般に燃料(例えば精製燃料ガス)として用いる価値の低いガス(エタンおよび低級)に転化するようなクラッキング反応の急冷または触媒的変化による炭化水素蒸気の過剰分解(一般に当業界で「蒸気過剰クラッキング」と呼ぶ)を減少させることができる。] [0017] 本発明の他の典型的な実施形態は、コークス化プロセスの様々な生成物の品質を改良することができる。一つの実施形態において、コークス化プロセスへの供給原料の熱的変化した成分を、コークス化プロセスに加えた接触添加剤によって分解液体およびガス生成物へ触媒的に転化する。この典型的な実施形態の代案は、従来のコークス化プロセスの熱的クラッキング及び熱的コークス化のコークス化処理又は生成物に対してコークス化プロセスの特定の処理流への高い選択性および反応性を有するように設計した触媒を用いる。例えば、(1)様々な軽油成分を接触分解してより軽質の分解液体またはガスを増加させる、および/または(2)それらを接触コークス化することによって軽油の品質を本発明の典型的な実施形態の接触添加剤によって有効に改良する。個々のコークス化プロセスの操作に応じて、特定の軽油成分の選択的な分解およびコークス化は、コーカーリサイクルの減少および/またはコーカー軽油の品質の改良をもたらすことができる。逆に、コーカー軽油における改良は、下流処理ユニット、とくに分解ユニットの操作および効率を改良できる。さらに、本発明の典型的な実施形態を用いて石油コークスの品質を大きく改良し得る。本発明の典型的な実施形態を用いて、コークス化プロセスへの供給原料のあらゆる成分および/またはコークス化プロセスで形成された化学的中間生成物の選択的接触コークス化によって石油コークスの品質を高めることもできる。この実施形態の接触コークス化は、陽極、電極、燃料または特別な炭素の市場に対する石油コークスの品質を改良する方法で行うことができる。典型的な実施形態はまた、スポンジコークス形態を増加させて、一回分のコークス生産並びにコークス切断中の「ホットスポット」および蒸気「ブローアウト」に伴う安全性の問題を回避することができる。多くの場合、これは、コークスにおける冷却チャンネルを充填および遮断する重質芳香族(例えばアスファルテンおよびその誘導体)を接触分解および/またはコークス化によって行うことができる。一般に、スラリー油または他の添加剤をコーカー供給原料に添加してこれら目的を達成するための価値ある能力を用いることなくこれを行うことができる。さらに、本発明の典型的な実施形態は、陽極コークス市場において販売し得るに十分にコークス品質を改良し得る方法で一回分のコークスを減少させる。] [0018] 本発明の他の典型的な実施形態を用いてコークス化プロセス用の操作、維持、処理能力、効率および/または処理代替物を改良することができる。すなわち、接触添加剤をコークス化プロセスに添加して操作および/または維持を改良し得る積極的な方法でコークス化プロセスを変化させる。例えば、接触添加剤は、コークス化プロセスヒーターにおいて高いコークス性向を有する化学化合物、精留塔への蒸気および他のコークス化プロセス成分を減少し、また操作上の問題および維持の問題を減少させる。他の典型的な実施形態において、接触添加剤をコークス化プロセスに加えて、すべてコークス化プロセスの処理能力を増加させるのに役立ち得る石油コークス、ガス生成物および/またはコーカーリサイクルの減少を達成する。接触添加剤を有効に用いて、コークス化プロセスの障壁を除く他の方法を提供することもできる。本発明の典型的な実施形態はまた、コーカー軽油品質のような所望のコーカー生成物の品質および量を犠牲にすることなくコークス化プロセス能力を増加させる優れた方法を提供する。多くの場合、コークス化能力の増大はまた、コークス化プロセスが精製障壁となる製油所における精製処理能力の増加を導く。本発明の他の典型的な実施形態は、コークス化プロセスの効率を上げる。例えば、接触添加剤は、(1)更なる処理厳格さなしに価値る生成物を有効に増加させ、(2)処理した供給原料の一バレル当たりに要するリサイクルおよびそれに伴うヒーター燃料を減少させ、および/または(3)精留塔への蒸気負荷を減少させ、これらすべてがコークス化プロセス効率を上げる。さらに、本発明のさらなる典型的な実施形態を用いて、限定するものではないが、(1)コークス化プロセス供給原料の品質、(2)軽油の量および/もしくは品質、(3)コークスの量および/もしくは品質および/または(4)ガス生産の量および/もしくは品質を含むコークス化プロセスにおける処理代替物を提供する。] [0019] 本発明の他の典型的な実施形態は、他の精製処理ユニット用の操作、維持、処理能力、効率および/または処理代替物を改良する。コークス化プロセスに加えた接触添加剤を用いて、下流精製処理ユニットでさらに処理するコークス化プロセス生成物の量および/または品質を改良することによってこれらを改良することができる。例えば、軽油の品質の改良は、効率を上げ、下流の流体接触分解ユニット(FCCU)の操作、維持および処理能力を改良し、および/または水素化分解プロセスにおけるこれらの軽油成分のいくつかを処理する機会を提供する。これら軽油の量の減少はまた、FCCUの処理厳格さを低下させる機会を提供し、および/または他の種類のFCCU供給原料に対する処理代替物を提供する。本発明の典型的な実施形態はまた、コークス品質を犠牲にすることなく重質のサワー原油の割合を増加させることを望む製油所、特に陽極用コークスを現在生産する製油所に対し原油スレートの柔軟性を持たせることができる。本発明の他の典型的な実施形態は、下流焼成設備の操作および効率を改良する方法でコークスの品質を改良する。] [0020] 最後に、本発明の他の典型的な実施形態は、一般的に起こる熱的分解を超えてコークス化プロセスにおいて供給原料派生物の分解を達成することによって、原油精製所(またはシェール油、タールサンドなどに対する性能向上システム)用のさらなる接触分解能力を提供する。いくつかの場合において、コークス化プロセスにおけるさらなる接触分解は、下流分解能力を追加する経済的な代替物(例えば、流体接触分解ユニットまたは水素化分解装置)および/または下流接触分解のための供給原料前処理の追加を提供する。] [0021] 要約すると、本発明は、接触添加剤の品質および量を含むいくつかの要因に応じて若干独立して起こ得る多くの典型的な実施形態を有する。しかし、多くの場合、これら典型的な実施形態は、重複して同時に起こるが、程度が異なる。このように、本発明の典型的な実施形態は、特定の製油所の特別な必要性に対処する接触添加剤を開発する機会を提供する。すなわち、接触添加剤は、製油所の処理スキームおよび原油スレート機会に最も価値のある生産物への収率分布を改良するようにとくに設計することができる。このアプローチは、単に分解液体の大きな収率をもたらす接触分解を含むか、または所望タイプの分解液体に選択的であるより複雑な接触添加剤を含む場合がある。同様に、付加的な接触添加剤を加えて、特定の設備で所望の生成物(例えば地方プラスチックプラント用のプロピレン)をより生産するか、またはコークス化プロセスへの供給原料からの特定タイプの化学種またはコークス化プロセスにおける他の化学反応からの中間体化学種を選択的に転化することができる。すなわち、「中間体生成物」または「中間体化学種」は、熱的クラッキング、熱的コークス化および種々の他の化学反応により生起したコークス化プロセスにおけるコークス化プロセス生成物をコークス化プロセス供給原料成分と共に含む化学種を示す。このアプローチにおいては、各製油所におけるプロセス最適化モデルを、どんな接触添加剤が好ましく追及する価値がある(例えばコスト効率および投資収率)かを画定する際の有効なツールとして使用することができる。本発明のすべての典型的な実施形態は、全精製収益性を潜在的に改良する。本発明のさらなる目的および利点は、図面および後に続く説明を考慮することから明らかである。] [0022] 本発明の典型的な実施形態は、添加剤をコークス化プロセスに導入してコークス化プロセスの中間体炭化水素化合物を転化し、コークス化プロセスの生成物の品質および/または価値を改良するコークス化プロセスの改良を提供する。米国仮出願第60/866345号明細書において考察された基本技術は、この添加剤(しばしば触媒を含む)を用いて高沸点の化合物(例えば重質コーカー軽油)を分解又はコークス化する。以下の通り、「転化」は、これら高沸点化合物をナフサ、軽油、ガソリン、ケロシン、ジェット燃料、ディーゼル燃料および加熱オイルを含む軽質炭化水素へ分解することを含む。様々な他の典型的な実施形態は、かかる添加剤(触媒の有無)を蒸気の過剰分解反応を減ずる急冷剤としてを用いることを含めて論述する。多くの議論は、何が本発明の最良の操作の一つであるか考え、添加剤(触媒あり)を用いてコークス化プロセスの生成物蒸気中の最高沸点材料を選択的に転化し、コーカーリサイクルを最小限にするおよび/または重質コーカー軽油の品質を著しく改良する。これら問題のある成分を軽質液体生成物および/または高品質の石油コークスに転化することによって、本発明のこの典型的な実施形態は、コークス化プロセスに対する価値における最良の品質改良を提供し:(1)コークス収率を減じながら液体収率を増加させ、(2)コーカーリサイクルを最小化し、(3)コーカー軽油および/または石油コークスの品質を改良し、(3)「蒸気の過剰クラッキング」およびそれに伴う低価値のガスへの液体の損失を減少させ、(4)「ホットスポット」および/または「ブローアウト」およびそれに伴う安全性の問題およびコストを減少させ、(5)コーカー能力および潜在的に製油所の能力を増加させ、(6)原油スレートの柔軟性を増加させ、および/または(7)コークス化プロセスおよび下流処理ユニットの操作および維持を改良する。] [0023] 本発明において、基本技術のさらなる改良は、広範囲の触媒(およびそれらの改良品)を使用してコークス化プロセスにおける化学反応およびそれらの潜在的有用性に大幅に影響を与える。加えて、本発明の典型的な実施形態に用いる添加剤パッケージは、コークス化プロセスの様々な中間体炭化水素の有益な転化を提供する際の相当な柔軟性を付与する。さらに、本発明の改良は、(1)触媒反応を増強するための水素、(2)添加剤(例えば触媒)または水素を加熱することによるコークス化プロセスへの真熱注入の使用に対して請求する。最後に、基本技術の他の改良は、付加的な触媒の改良を用いて各コークス化プロセス用途での利益を最適化するより広範囲なアプローチを提供する。すなわち、接触添加剤を従来のコークス化プロセスに導入して、コークス化プロセス生成物の量もしくは収率を修正および/またはコークス化プロセス生成物の特定の特性および特徴を修正することができる。コークス化操作条件におけるマイナーチェンジは、これら接触添加剤パッケージの有効性を増強する。コークス化プロセスの生成物における変化は、限定することはないが(1)接触添加剤パッケージの品質および量、(2)特定のコークス化プロセスの存在設計および操作条件、(3)コークス化プロセス操作条件における変化の種類および程度、および(4)コークス化プロセス供給原料特性に依存する。] 図面の簡単な説明 [0024] 図1は、本発明の一実施例を最も簡単な形で示した図であり、この基本的なプロセスフローダイヤグラムは、本発明の添加剤の成分、すなわち触媒、播種剤、過剰反応体、キャリア流体および/または急冷剤を混合し得る加熱混合タンク(混合および温度制御の典型的手段)を示しており、混合した添加剤を適当な大きさのポンプ(加圧注入の典型的な手段)およびパイプ、好ましくは適当な大きさの散布注入ノズルを介して一般的なコークス化プロセスに加えられる。 図2は、既知の技術の従来の遅延コークス化技術の基本的なプロセスフローダイヤグラムである。 図3は、本発明の付加的な注入システムが組み込まれた遅延コークス化プロセスを示す図であり、実際の付加的な注入システムは、製油所とくに用途によって異なり、この注入点は、コークス化容器における蒸気/液体界面(またはコークス化界面)の上方の側壁上にある注入ノズルの一つ以上の地点であるか、または、添加剤の注入は、様々な場所、すなわちコークス化容器の蒸気/液体界面上方の任意の点、コークス化プロセス供給原料、コークス化プロセスリサイクル、コークス化プロセスヒーター供給原料、コークス化プロセスヒーター出口流、コークス化容器入口流、コークス化容器蒸気ライン、コークス化プロセス精留塔、またはそれらを組み合わせた場所で行われ、例えば、コークスドラムまたはコークス柄の頂部からのランスは、上昇する蒸気/液体界面(例えばコークス塊)の前方に移動し、また、付加的な注入システムは、現存する消泡システム(すなわち流量を増加させるために改良された消泡システム)の一部として組み込まれるか又は消泡システムに取って代わるか、または、全体的に独立したシステムである。 図4は、既知の技術の従来の流体コークス化技術の基本的なプロセスフローダイヤグラムでり、フレキシコークス化は、副生成物の石油コークスのガス化用の追加ガス化容器を用いる本質的に同じプロセスである。 図5は、本発明の添加剤注入システムが組み込まれた流体コークス化およびフレキシコークス化プロセスを示す図であり、遅延コークス化プロセス用の添加剤システムと同様に、添加剤は、コークス化容器に生成蒸気が液体およびコークス粒子から分離するレベル(すなわちこの場合はコークス化界面)、または流体コークス化プロセス供給原料、供給原料への流体コークス化プロセス重質油リサイクル、炭素粒子の流体コークス化プロセスリサイクル、流体コークス化プロセスヒーター供給原料、コークス化プロセスヒーター出口流、流体コークス化プロセスのコークス化容器入口流、コークス化容器蒸気ライン、コークス化プロセス精留塔、またはそれら組み合わせた場所を含む(限定することはないが)他の注入点(すなわちコークス化プロセスにおける前記の様々な点)の上方で注入され、また、実際の添加剤注入システムは、製油所とくに用途によって異なる。] 図1 図2 図3 図4 図5 発明を実施するための最良の形態 [0025] 前述の要旨を考慮して、以下は本発明およびその典型的な実施形態の詳細な説明を示し、本発明の最も良い実践モードを考察する。本発明の詳細な説明は、図面に関連する発明の議論を提供する。典型的な実施形態の詳細な説明および議論を2個の主な題目に分ける:一般的な典型的実施形態および他の実施形態である。これらの実施形態は、(1)接触添加剤パッケージの品質および量を修正、および/または(2)コークス化プロセス操作条件を変更して本発明の典型的な実施形態の使用を最適化し様々なコークス化プロセス用途における最も良い結果を達成するように議論および実証する。] [0026] 図1は、本発明の視覚的な説明を最も簡単な形で付与する。この基本的なプロセスフローダイヤグラムは、本発明の添加剤の成分、すなわち触媒(220)、播種剤(222)、過剰反応体(224)、キャリア流体(226)および/または急冷剤(228)を混合し得る加熱した混合タンク(210)(典型的な混合手段および温度制御手段として)を示す。明らかに、添加剤パッケージがこれら成分の一つまたは二つのみからなる場合、加熱混合タンクの必要性、すなわち他の混合および温度制御手段を減少または排除することができる。その後、混合した添加剤(230)を、適当な大きさのポンプ(250)(加圧注入の典型的な手段として)およびパイプ、好ましくは好ましくは適当な大きさの散布注入ノズル(260)を介して一般的なコークス化プロセス(240)に注入する。この場合、ポンプを、添加剤流速の特定設定点に関するフィードバック制御システムを有するフローメーター(270)によって制御する。このプロセスの主な目的は、本発明の成分の所望添加剤混合物を常に達成し、この添加剤を均一に分配して前記接触添加剤を所望の点又は複数点でコークス化プロセスに導入することにある。一般に、このシステムは、(1)注入点でプロセス要件を処理し、(2)添加剤の重質成分(例えば触媒)の下流設備への取り込みを防止するように設計すべきである。] 図1 [0027] このシステムの特定の設計および添加剤成分の最適な混合は、様々な要因により製油所間で変化する。最適な混合を、本発明のパイロットプラント研究または商業化実証において画定することができる。一度これを画定すると、当業者はこのシステムを設計して添加剤成分の品質および量を確実に制御し、所望の混合物の一定の混合を提供することができる。これはバッチまたは連続基盤で行う。当業者はまた、(1)添加剤混合物の特性(例えば、粘度、スラリー粒子サイズなど)、(2)添加剤注入の必要条件(例えば、圧力、温度など)および(3)その商業化における設備の必要条件(例えば、信頼性、安全性など)(限定することはない)を含む様々な現場の特定要因に基づいて適切なパイプ、注入ノズルおよびポンプシステムに関する操作手順を設計および開発することができる。] [0028] 添加剤の説明:本発明の典型的な実施形態における添加剤は、それぞれの典型的な実施形態の有用性を達成する際に特定の機能を有する成分の組み合わせとすることができる。このように、添加剤は、本発明のすべての用途において触媒そのものではないが、用途の多くでは触媒とすることができる。いくつかの用途(例えば蒸気の過剰クラッキングの急冷)においては、添加剤に全く触媒がない。したがって、用語「接触添加剤」は、すべての実施形態において当てはまるわけではないが、多くの実施形態において当てはまる。以下の説明は、さらに様々な可能な添加剤成分、それらの用途、および可能な組み合わせを提供する。] [0029] 前記接触添加剤パッケージは、(1)触媒、(2)播種剤、(3)過剰反応体、(4)急冷剤、(5)キャリア流体、または(6)それらの組み合わせから成る。前記接触添加剤パッケージの最適な設計は、限定することはないが、コークス化プロセス供給原料混合物特性、プロセス設計および操作条件、コークス操作問題、製油所プロセススキームおよび処理対象物、重質コーカー軽油および他のコークス化プロセス生成物の下流処理および/または石油コークス市場および仕様を含む違いのために製油所から製油所までで著しく変えることができる。] [0030] 触媒:一般に、触媒はコーカー供給原料、コークス化プロセスの中間化学種および/またはコークス化プロセスの他の処理流に対し所望の反応用活性化エネルギーを減ずるいずれの化学元素または化学化合物から成る。触媒は、好ましくは特定の分解反応に有利に働くおよび/またはコークス化プロセスにおける特定タイプの炭化水素反応体もしくは生成物(例えば供給原料、中間体および/もしくは蒸気生成物)のクラッキングに対する選択性を提供するように設計することができる。さらに、触媒は、好ましくは特定のコークス化反応に有利に働くおよび/または特定タイプの炭化水素反応体もしくは生成物のクラッキングに対しコークス形態、揮発性可燃物(VCM)の品質および量、汚染物質(例えば硫黄、窒素および金属)の濃度、またはその組み合わせを含む選択性を提供するように設計してもよい。或いはまた、触媒は、コークスにおける「ホットスポット」および脱コークス化操作における「ブローアウト」が生起する傾向があるコークス化プロセス供給原料のあらゆる重質成分(すなわち液体、準液体または固体)を選択的に転化するように設計してもよい。加えて、触媒は、発熱アスファルテン重合反応機構(吸熱フリーラジカルコークス化機構に対する)を介して優先的にコークス化するように設計してもよい。このようにして、コークスドラムの温度は、熱的および/または接触クラッキングもしくはコークス化のレベルを上げるか、潜在的に上げることができる。これら様々な種類の触媒設計および/または他の設計を、個別にまたは任意の組み合わせで用いることができる。最後に、触媒を処方して化学反応のいずれか一つ以上を増進することができ、該反応は限定することはないが、クラッキング反応、コークス化反応、熱分解反応、水素化反応、水素化分解反応、加水分解反応、付加反応、脱水素化反応、縮合反応、重合反応、芳香族化反応、オリゴマー化反応、異性化反応またはその任意の組み合わせを含む。] [0031] 前述の説明および本発明の明細書全体にわたる触媒特性の一般的な説明は、広範囲な本発明を説明する。本発明の典型的な実施形態は、様々な接触添加剤(単独又は組み合わせ)をコークス化プロセスに導入して様々な化学反応を増進するための様々な方法を説明する。このように、本発明は、様々な触媒基質および処理を含む幅広い触媒の潜在的使用を予期する。これに関連して、本発明の触媒の典型的な実施形態には、通常の触媒ではないが、本来は固体、液体又は気体であろうと十分な接触効果を提供する化学化合物がある。例えば、特定のナトリウムおよびカルシウム化合物の存在がコークス化プロセスヒーターにおいて望ましくないコークス化を増加させ得る。このように、類似のナトリウムまたはカルシウム化合物(例えば液体)を本発明の典型的な実施形態に用いて、接触添加剤の注入点近くでのコークス化反応をこれらの化合物で増進させることができる。加えて、全体的に新しいかまたは現存する触媒を基にした様々な触媒の開発は、本発明の典型的な実施形態を予期する。] [0032] 多くのタイプの触媒を用いて本発明の典型的な形態における触媒の触媒的および物理的特性に対処することができるが、オイル精製工業の流体接触分解(FCC)プロセスに用いる従来の触媒は、所望の触媒特性を満たす現在最も近いタイプの触媒であると考えられている。主な理由は、(1)低圧で低い水素濃度(したがって低い水素分圧)を有する同様の操作環境における炭化水素に対する高い触媒活性および選択性、(2)同様の触媒サイズの必要条件、(3)本発明の様々な典型的実施形態における所望の反応を達成する最もコスト効率の高い触媒を設計および構築する能力である。すなわち、FCC触媒の基本成分の様々な組み合わせによって、幅広い能力を可能にし、限定することはないが、(1)コークス化プロセスにおける様々な炭化水素を分解するための高い分解活性、(2)コークスの品質を改良する本発明の典型的実施形態に対する高いコークス化活性、(3)他の用途に対する様々な触媒成分および処理の最適な組み合わせがある。FCC触媒の基本成分および関連する処置には、限定することはないが、(1)ゼオライト合成および処理、(2)活性マトリクス合成、(3)クレー処理、(4)結合剤合成がある。ゼオライト成分は、合成(人工)結晶性アルミノケイ酸塩である。様々な処理を用いて標準Yゼオライトを変化させて、所望の生成物への大きな分解能力を含むオレフィンのような種々の対象物に対しの触媒成分を最適化することができる。第2の基本成分は、活性マトリクス、代表的には合成無定形アルミノケイ酸塩である。この触媒成分は極めて多孔質で、高濃度のメソ細孔(30〜500アングストローム)およびマクロ孔(500アングストローム以上)を有する。この基本触媒成分は、コークス化プロセスにおける大きな分子に対して高い近接性を有し、また高い残油分解能力を有する。あるタイプのクレーは、熱およびナトリウム用ひけとして用いられ、また触媒の機械的強度を付与するが、触媒活性への効果には制限がある。最後に、結合剤は、触媒成分を一緒に保持する。いくつかの結合剤(例えばアルミナ重合体)は、さらに触媒活性を上げ、残油分解に役立つことができる。このように、本発明のさまざまな典型的実施形態用の最適な触媒を様々なコークス化プロセス用途に提供する鍵は、触媒成分および処理の正しい組み合わせを見つけることである。これに関連して、ゼオライト対活性マトリクスの最適な比(すなわち当該技術におけるZ/M)は主要な因子である。結論として、この種の触媒の物理的および触媒的特性は、本発明の明細書全体に説明した接触添加剤における触媒の所望機能を果たすように設計する。しかし、本発明は、現在も今後も多くの触媒の代替物があるためこの種の触媒に限定すべきでない。加えて、この種の接触添加剤パッケージの注入と、様々な供給原料成分、中間化学種、分解液体および/または蒸気生成物の選択的分解およびコークス化とはともに、石油コークス化プロセスにおける従来の知識および現在の傾向と正反対である。] [0033] 本発明の触媒の典型的な実施形態の特性には、本発明の明細書全体を通して説明した機能を果たす活性化および処理を有する触媒基質がある。多く(すべてではないが)の場合、触媒は、分解、コークス化および他の反応機構における中間体として参画するカルボカチオン(例えばカルボニウムおよびカルベニウムイオン)と呼ばれる正に荷電した有機種の伝播を開始する酸触媒部位(例えばブレンステッドおよび/またはルイス)を有する。これら反応の多くがかかるカルボカチオンの伝播によって開始されるため、高濃度の酸部位を促進する触媒基質が通常好まれるが、必要ではない。しかし、酸部位の濃度は所望の反応(例えば過剰な水素転移活性)に対して高すぎる。例えば、FCC触媒における触媒成分のいくつかの種類の処理および選択が、好ましくはSi/Al比を減少させて所望の反応(例えばオレフィン対パラフィンの生成)に対する酸部位の濃度を減少させる。他の種類の所望接触反応に対して、非酸性触媒部位を含む異なる性質の触媒基質が好ましい場合がある。或いはまた、触媒は液体または気体とすることができる。] [0034] また、本発明の固体触媒の多孔性は、コークス化プロセスにおける所望反応に合わせて設計する必要がある。一般に、反応体または生成物の分子の大きさが大きくなるとほど、反応速度論における因子を制限する拡散抵抗の緩和に必要な孔の大きさが大きくなる。例えば、分子量3000〜48000を有するアスファルテン分子は、50〜300アングストロームの分子径を有する。許容し得る拡散レベルは、分子径の少なくとも3倍、150〜900アングストロームであり、これはメソ細孔範囲(すなわち20〜500アングストローム)の上限で、かつマクロ孔範囲(すなわち500アングストローム以上)の下限である。したがって、これら巨大分子用の触媒は、コークスおよびガスの生成を制御する低活性のマクロ孔および/または高活性のマメソ細孔の分布を有する高マトリクス活性の必要性を含む細孔分布範囲を有するのが好ましい。逆に、平均径70ミクロンを有する従来のFCCUの触媒は、より低い分子径を有する主として低沸点供給原料に対し極めて高い活性を有する相当な割合のミクロ細孔(ゼオライト成分)を有する。メソ細孔およびマクロ孔の特性を高い割合で有すると、触媒は好ましくは、酸部位に容易に接近する大きな芳香族分子を可能にする。逆に、ゼオライトは非常に高い酸性活性を有するが、大きな炭化水素分子に接近できない約9アングストロームの孔の大きさを有する。したがって、大きな炭化水素分子は、ゼオライトの外側でかつリカーアルミナマトリクスにおいて分解を限定する。加えて、触媒のメソ細孔およびマクロ孔の程度が大きいほど、遅延コークス化プロセスの泡層内または近く、液層において、および/またはコークス層における活性部位で起こる反応用の滞留時間が長くなる。すなわち、液体またはコークス層の一部になった後の連続接触反応の可能性が大きな触媒空隙率で増大する。] [0035] 加えて、本発明における固体触媒の典型的な実施形態は、好ましくは10〜600ミクロンのサイズ(最も好ましくは40〜300ミクロン)で、触媒流動化および注射器閉塞の防止のためには十分小さいが、コークス化容器(例えば遅延コークス化プロセスのコークスドラム)を出る蒸気の取り込みを回避するには十分大きい(例えば50ミクロン以上)。例えば、触媒および反応体(例えば重質芳香族)は、遅延コークス化プロセスの蒸気/液体界面(または泡層)、液体層、および/またはコークス層を整定させるに十分な密度を有するのが好ましい。このようにして、蒸気/液体界面の整定時間は、蒸気/液体界面に到達する前に、コークス化プロセスの様々な供給原料成分または分解液体蒸気生成物(例えば軽油)を分解するのに価値ある滞留時間を提供する。特定の重質芳香族に対して、均衡が、低温(例えば華氏600〜900度、好ましくは華氏700〜850度)で長い滞留時間を有する最大の芳香族分解に有利に働く。考えられる限り、触媒は多孔質のコークスの一部になった後でもコークス中を流れる液体/蒸気の接触分解反応を促進し続ける。触媒およびコークスが十分な気孔率を有すると、潜在的な炭化水素反応体(例えば、コークスドラムにおけるコークスを通して流れる2相の供給原料を含む)を分解するための滞留時間は、考えられる限りコーカーサイクル時間(例えば12〜15時間)までとすることができる。逆に、下流分解ユニット(例えばFCCU)の接触反応の有効な滞留時間は、通常秒ユニットである(例えば100秒未満)。潜在的に、これは、重質芳香族が、下流接触分解ユニット(例えばFCCU)に対して本発明の接触添加剤を有するコークス化プロセスにおける分解の機会が多くなるからであると考えられる。本発明の典型的な実施形態において、触媒は、好ましくは、液相反応体、蒸気相反応体および/またはその両方に対して有効であるように設計する。しかし、本発明は、コークス化プロセスにおいて多くの同時に起こる競争反応のためこの理論の操作に限定されるべきでない。加えて、このタイプの接触添加剤パッケージの注入と、様々な供給原料成分、中間化学種、分解液体および/または蒸気生成物の選択的分解及びコークス化とはともに、石油コークス化プロセスにおける従来の知識および現在の傾向と正反対である。] [0036] 本発明の典型的な実施形態に対する固体触媒の大きさをコークス化容器中での触媒の流動化を促進するようなもの(例えば40〜100ミクロン)とすると、蒸気領域における触媒の滞留時間をさらに増進することができる。しかし、これは、触媒活性に応じて、価値ある分解液体生成物をガスに分解して過剰なガス生成のため多くのコークス化プロセスにおいて望ましくない場合がある。触媒のサイズを流動化用にする場合、流体接触分解器(すなわちFCC)または他の粒子分離装置におけるものと類似のサイクロンをコークス化容器(例えばコークスドラム)に用いて、分留塔へのガス蒸気における触媒粒子の取り込みを制御し、生成物蒸気および分留装置の外側で触媒粒子およびシリカを維持する。典型的な実施形態には、流体コークス化またはフレキシコークス化プロセス用の接触添加剤に固体触媒を含み、ここで600ミクロンまでのコークス粒子がコークス化容器中で流動化したままである。] [0037] 多くのタイプの触媒を本発明の典型的実施形態に用いる。触媒基質は、アルミナ、シリカ、ゼオライト、活性マトリクス、活性炭素、クラッシュコークス、カルシウム化合物、鉄化合物、またはその任意の組み合わせ(限定することはない)を含む様々な多孔質の天然または人工の材料から成る。これら基質を処理または加工して、本発明の典型的実施形態用の所望の触媒的および物理的特性を達成する。これら基質はまた、触媒活性、選択性、他の触媒特性またはその組み合わせを増強する他の化学元素もしくは化合物で含浸または活性化させる。かかる化学元素または化合物には(限定することはないが)、ニッケル、鉄、バナジウム、硫化鉄、硫化ニッケル、コバルト、カルシウム、マグネシウム、モリブデン、ナトリウム、その関連する化合物またはそれら組み合わせがある。選択的分解に関しては、コークス化を選択的に減ずるための技術的進歩の多くを用いることができる。選択的コークス化に関しては、ニッケルが相当な水素分圧の欠如下でコークス化を強く増進するため、触媒にはニッケルがある。さらに、空隙率、部分的なメソ細孔率の増大したレベルは、大分子による触媒の活性部位への接近を可能にする利益となる。添加剤中の触媒は、コークス化プロセス供給原料成分および分解液体/生成物蒸気(例えば軽油)の軽質液体生成物への分解を改良することができるが、触媒は通常コークス中にある。予期することには、様々な触媒を上述の目的で設計し、とくに触媒がコークス化プロセスの供給原料、分解液体および/生成物蒸気の成分のより高価値の生成物への大きな分解を達成するように設計する。これらの場合、好ましい触媒処方は先ず供給原料成分を分解して高価値の軽質生成物(例えば分解液体)を最大化するが、究極的には他の重質芳香族の分解またはコークス化を促進して「ホットスポット」をもたらすピッチ材料(分解に対しコークス化への非常に高い性向を有する)をコークス中で緩和する。しかし、これら材料の特定の化学特性と、適切に設計した触媒とを用いると、かかる材料の分解液体への大幅な接触転化が達成される(例えば50重量%以上)。] [0038] 本発明の典型的な実施形態の各用途に対する最適な触媒または触媒組み合わせは、触媒コスト、触媒活性、所望の反応に対する触媒選択性、触媒のサイズおよび所要の石油コークス仕様(例えば金属)を含む(限定することはないが)様々な因子によって画定する。本発明の典型的実施形態においては、触媒が、新しい触媒、FCCU平衡触媒、使用済み触媒、再生触媒、多機能触媒、二面性触媒、粉砕した触媒、分級した触媒、含浸触媒、処理済み触媒またはその任意の組み合わせからなる群から選択することができる。例えば、燃料用コークスに対するコークス仕様は、一般に金属に対して僅かな制限を有するが、低コストが重要な問題となる。これらの用途において、使用済みもしくは再生FCCU触媒若しくは使用済みの粉砕し、また分級した水素化分解触媒(取り込み防止用のサイズ)が好ましい。しかし、これら目的用に設計した新しい低コストの触媒、または使用済みもしくは再生触媒と混合し得る新しい触媒促進剤が最も好ましい。他方、陽極用コークスに対するコークス仕様は、硫黄および鉄、ケイ素およびバナジウムのような特定の金属に対して厳しい制限をしばしば有する。これらの用途において、コストは重要ではない。したがって、高い触媒活性および/または選択性に対して設計した新しい触媒(好ましくはアルミナまたは活性炭素を用いて作成して金属汚染を防ぐ)がこれらの用途において好ましい。ニッケルで含浸したアルミナまたは活性炭素(またはクラッシュコークス)は、選択的コークス化が望まれる用途に対して最も好ましい。] [0039] 触媒の使用量は、各用途に対して、(1)触媒特性(例えば、活性、選択性、転化率、効率、および空隙率)、(2)コークス仕様、及び(3)触媒コストを含む様々な因子に応じて変わる。多くの用途において、触媒の量はコーカー供給原料の15重量パーセント未満とする。最も好ましくは、触媒の量がコーカー供給原料流入の0.1重量パーセントからコーカー供給原料流入7.0重量パーセントとする。これらレベルを超えると、コストが顕著に増加する傾向にあり、触媒の添加重量当たりの利益を減ずる。いくつかの場合において、接触添加剤は従来の触媒を全く含まない場合があるが、接触添加剤パッケージの所望の効果をまだ有する。説明したように、接触添加剤をコークス化プロセスにおける種々の点で添加することができ、限定することはないが、キャリア流体:炭化水素、オイル、無機液体、水、スチーム、窒素またはそれら組み合わせがあろうとなかろうと加圧注入を含む様々な手段によるコークス化容器を出る蒸気への注入(例えば、遅延コークス化プロセスのコークス化サイクル間のコークスドラムにおける蒸気/液体界面または泡層より上)がある。接触添加剤の加圧手段には、(限定することはないが)、ポンプもしくは接触添加剤の一部として又は別に駆動力のみとしての圧縮流体(例えばラインを介してまた「注入器」を介して通る混合タンクにおける圧縮流体)があり、該圧縮流体(限定することはない)には、窒素、水素、燃料ガス、水、炭化水素液体/蒸気、空気および/または酸素がある。空気および/または酸素は、危険な火事または爆発の可能性をもたらすコークス化プロセスへの潜在的な注入があるため最も望ましくない駆動流体である。「注入器」は、本発明の典型的な実施形態のコークス化プロセスへ前記接触添加剤を導入するための注入点へ接触添加剤を入れる様々な装置を示す。許容し得る「注入器」(限定することはない)には、流体噴霧器、窒素アシスト噴霧器、噴霧システム、注入器システム、ランスおよび/または簡単なパイプがある。例えば、注入器システムは、泡層を越えて上昇コークス質量の上方に接触添加剤の注入を維持するために上部ドラムフランジを通して待避する修正ドリルステムとして精緻なものとすることができる。接触添加剤を加える他の注入点(すなわちコークス化プロセスにおける前記様々な点)(限定することはない)には、コークス化プロセス供給原料ライン、コークス化プロセス蒸気ライン、コークス化プロセス精留塔、コークス化プロセス供給原料ポンプ、コークス化プロセスヒーター、またはその組み合わせがある。接触添加剤を注入できる他の処理流(限定することはない)には、コークス化プロセス供給原料、コークス化プロセスリサイクル、コークス化プロセスヒーター供給原料、コークス化プロセスヒーター出口流、コークス化容器入口流、コークス化容器蒸気、コークス化プロセス精留残油またはその組み合わせがある。] [0040] 本発明のいくつかの典型的な実施形態において、触媒のみの添加は望ましくない。すなわち、過剰な反応体、急冷剤および/またはキャリア油なしでの触媒の注入は、実際に望ましくない反応(例えば蒸気過剰クラッキング)を増大し、負の経済的影響を与える場合がある。しかし、他の典型的な実施形態において、触媒のみの添加が望ましい場合がある。例えば、触媒を高温(例えば800〜1200°F)まで加熱して、真熱をコークス化プロセスに加え、触媒反応を改良するのが望ましい場合がある。] [0041] 播種剤:一般に、播種剤は、接触分解または接触コークス化を増強する、とくにコークス化反応用の表面を提供することによるコークスの形成および/またはコークス結晶構造(例えばコークス形態)の開発を生起する任意の化学元素または化学化合物から成る。播種剤は、液滴、準固体、固体粒子、またはそれら組み合わせである。播種剤は、触媒そのもの、または別のものとすることができる。ナトリウム、カルシウム、鉄、および炭素粒子(例えば、クラッシュコークスまたは活性化炭素)の化合物がは、精製プロセスにおけるコークス成長用の既知播種剤である。これらおよび他の化学元素または化合物を接触添加剤に含めて、コークス化プロセスにおける供給原料成分または化学中間体からの分解、すなわちコークス成長を増進することができる。] [0042] 播種剤の使用量は、各用途に対し、触媒の量、触媒特性(例えば、活性、選択性、転化率、効率および空隙率)、コークス仕様およびコストを含む(限定することはない)様々な因子に応じて変わる。多くの用途において、接触分解が接触コークス化よりもより望ましい。これらの場合、接触コークス化を促進する播種剤を最小にするか、または全く含ませず、触媒のみが播種剤となる。しかし、いくつかの場合においては、触媒が添加剤中にほとんどまたは全くないのが望ましいかもしれない。かかる場合、播種剤の量はコーカー供給原料の15重量パーセント未満とする。最も好ましくは、播種剤の量は、コーカー供給原料流入の0.1重量パーセントからコーカー供給原料流入の7.0重量パーセントとする。多くの場合、播種剤の量は、コーカー供給原料の3.0重量パーセント未満であるのが好ましい。説明したように、この播種剤は、キャリア流体:炭化水素、オイル、無機液体、水、スチーム、窒素またはその組み合わせがあろうとなかろうと加圧注入を含む(限定することはない)種々の手段によりコークス化プロセスにおける様々な点に加えることができる。] [0043] 過剰反応体:一般に、過剰反応体は、コークス化プロセスの供給原料成分、中間化学種および/または生成物蒸気と反応して所望の反応および反応生成物を付与する任意の化学元素または化学化合物から成る。接触添加剤において、過剰反応体は、ガス、液体、準固体、固体粒子またはその組み合わせである。好ましくは、選択した過剰反応体は化学的に反応性の化合物である。] [0044] 様々なタイプの過剰反応体をこの目的に対して用いる。理想的には、過剰反応体が、コークス化プロセスの所望の供給原料成分、中間化学種、分解液体および/または蒸気生成物と蒸気相、液相、固相またはいずれの組み合わせ中で直接反応する非常に高濃度の化学元素または化学化合物を含む。過剰反応体には、限定することはないが、スラリー油、軽油、芳香族抽出ユニット(例えば潤滑油精製所におけるフェノール抽出ユニット)からの抽出物、コーカー供給原料、ビチューメン、他の芳香族油、クラッシュコークス、活性炭またはその組み合わせがある。これら過剰反応体をさらに処理(例えば蒸留)して、所望の過剰反応体成分(例えば芳香族化合物)の濃度を上げ、過剰反応体の所要量を減ずるかおよび/またはコークス化プロセス標的の供給原料成分、中間化学種、分解液体および/もしくは生成物蒸気との過剰反応体の反応性、選択性、有効性を改良することができる。] [0045] いくつかの場合において、水素または他の反応性ガスを接触添加剤と共に又は別々に注入することが、触媒の有効性を高めるのに望ましい。これはとくに、分解液体のさらなる収率が弱水素処理、水素化分解、水素化、またはその任意の組み合わせから起こる状況に当てはまる。水素注入を用いる本発明の典型的な実施形態には、80psigを超える圧力のニードルコーカーのような高圧コークス化容器がある。] [0046] 過剰反応体の使用量は、各用途に対し、触媒の量、触媒特性(例えば、活性、選択転化率、効率および空隙率)、コークス仕様およびコストを含む(限定することはない)様々な因子に応じて変わる。多くの用途において、過剰反応体の量は、コークス化プロセスにおける供給原料成分、中間化学種、分解液体および/または蒸気生成物の所望の転化を達成するのに十分なモル量よりもおおい反応体を提供するのに十分なものとする。好ましくは、過剰反応体のコークス化プロセスの標的成分に対するモル比は、当業者によって画定した過剰量である。しかし、いくつかの場合において、過剰反応体が添加剤中にほとんどまたは全くないのが望ましい場合がある。多くの場合、過剰反応体の量は、コーカー供給原料の15重量パーセント未満である。最も好ましくは、過剰反応体の量は、コーカー供給原料流入の0.1重量パーセントからコーカー供給原料流入の7.0重量パーセントとする。説明したように、この過剰反応体は、キャリア流体:炭化水素、オイル、無機液体、水、スチーム、窒素またはその組み合わせがあろうとなかろうと加圧注入を含む(限定することはない)する様々な手段によりコークス化プロセスにおける様々な点に加えることができる。] [0047] キャリア流体:一般に、キャリア流体は、接触添加剤をコークス化プロセスに注入するのを容易にする任意の流体から成る。該キャリアは、液体、ガス、炭化水素蒸気またはその任意の組み合わせである。多くの場合、キャリアは、軽油のようなコークス化プロセスで入手可能な流体、またはケロシンのようなより軽質の液体処理流である。多くの場合、コークス化プロセスでの軽油が、好ましいキャリア流体である。しかし、キャリアには限定することはないが、FCCUスラリー油、デカントしたFCCUスラリー油、FCCUサイクル油、軽油、他の炭化水素、他の油、無機液体、水、スチーム、窒素、水素またはその組み合わせがある。] [0048] キャリア流体の使用量は、各用途に対し、触媒の量、特性(例えば、活性、選択転化率、効率および空隙率)、コークス仕様およびコストを含む(限定することはない)様々な因子に応じて変わる。多くの用途において、キャリアは実際ほとんどまたは全く必要ないが、接触添加剤をコークス化プロセスに加えるのにより実践的でコスト効率的にするために望ましい。キャリア流体の量は、ポンプまたは他の手段による添加のために添加剤を加圧する能力を改良するのに十分とする。多くの場合において、キャリアの量は、コーカー供給原料の15重量パーセント未満である。最も好ましくは、触媒の量がコーカー供給原料流入の0.1重量パーセントからコーカー供給原料流入の7.0重量パーセントとする。説明したように、このキャリア流体は、加圧注入を含む(限定することはない)様々な手段による接触添加剤をコークス化プロセスの様々な点に添加するのを助ける。] [0049] 急冷剤:一般に、急冷剤は、コークス化プロセスにおける様々な点の温度をさらに低下させる正味の効果を有する任意の流体から成る。急冷剤は、液体、ガス、炭化水素蒸気、またはその任意の組み合わせである。多くの製油所のコークス化プロセスは、コークス下容器(例えばコークスドラム)の蒸気下流に急冷を用いる。いくつかの場合、この急冷をコークス化容器に向かって動かすことができる。多くの場合、下流急冷の釣合いの取れた減少が、コークス化プロセスにおける同じ全熱バランスを維持するのに望ましい。多くの場合、コークス化プロセスで入手し得る軽油が好適な急冷剤である。しかし、急冷剤には、限定することはないが、軽油、FCCUスラリー油、FCCUサイクル油、他の炭化水素、他の油、無機液体、水、スチーム、窒素またはそれら組み合わせがある。急冷剤を接触添加剤と共におよび/または別々に加えることができ、いずれも触媒の有効性を高めるのに望ましい。] [0050] 急冷の使用量は、各用途に対し、コークス化プロセスの温度、コークス化プロセスの所望温度、および急冷なしの添加剤の急冷効果および/または入手し得る急冷選択肢の特性およびコストを含む(限定することはない)様々な因子に応じて変わる。多くの用途において、急冷の量は、コークス化容器における一次分解およびコークス化領域からの蒸気を所望の温度まで急冷し終わるのに十分とする。いくつかの場合、急冷剤が添加剤においてほとんどまたは全くないのが望ましい。多くの場合、急冷剤の量は、コーカー供給原料の15重量パーセント未満である。最も好ましくは、急冷剤の量がコーカー供給原料流入の0.1重量パーセントからコーカー供給原料流入の7.0重量パーセントとする。説明したように、この急冷剤を、キャリア流体:軽油、炭化水素、オイル、無機液体、水、スチーム、窒素またはその組み合わせがあろうとなかろうと加圧注入を含む(限定することはない)様々な手段によって添加剤の一部としてコークス化プロセスにおける様々な点に加える。] [0051] 添加剤の組み合わせおよび注入:接触添加剤成分を、組合わせて又は別々にコークス化プロセスに加える。多くの用途において、混合した添加剤は各用途において望ましい程度で5個の成分のうち1個またはすべてと結合する。接触添加剤成分を、混合により、好ましくは均質濃度になるまで混合し、また温度制御によって所望の温度(例えば加熱した混合タンク)まで加熱する。例えば、混合物の所望温度(例えば華氏150度以上)が、適当なポンプ特性および流体ノズル噴霧特性のための粘度レベルを維持するように上昇する必要がある。加えて、触媒をコークス化プロセスの熱量を増加させる温度(例えば華氏850〜1200度)までの加熱が、いくつかの場合(例えば触媒活性の増加)において望ましい。これらの場合、触媒を残りの添加剤から別の伝達システムにおけるコークス化プロセスに加熱し、加える。或いはまた、加熱した触媒が添加剤の成分にすぎない。次いで、所望の温度および圧力の添加剤を加圧(例えばポンプを介して)し、所望の点でコークス化プロセスに加える(例えば注入ノズルを介して)。多くの場合、断熱化容器が所望の温度で添加剤を維持するのに望ましい。また、注入ノズルが、多くの場合コークス化プロセスの横断プロファイル(例えばコークス化容器)を横切って添加剤を均一に分布させるのに望ましい。注入ノズルはまた、適当な液滴サイズ(例えば50〜600ミクロン)を付与してコークス化プロセスの他の成分内への望ましくない成分の取り込みを防止するように設計する。通常、これら注入ノズルは、コークス化プロセスの流れの逆流を目指す。注入速度は、プロセス流をコークス化プロセス流へ入れ、望ましくない取り込みを避けるのに十分とする。しかし、注入ノズルの設計および冶金学は、接触添加剤における固体(例えば触媒)の閉塞及び侵食の可能性を考慮する必要がある。その理由は、かかる固体の大きさがコークス化プロセスでの望ましくない成分(たとえば生成物蒸気流)の取り込みを避けるに十分とする必要がある間である。説明したように、接触添加剤が、コークス化容器における蒸気内への流入(例えば、遅延コークス化プロセスのコークス化サイクル間のコークスドラムにおける蒸気/液体界面または泡層の上方)に限定することはないがこれを含むコークス化プロセスにおける様々な点で、キャリア流体:炭化水素、オイル、無機液体、水、スチーム、窒素またはその組み合わせがあろうとなかろうと加圧注入を含む様々な手段によって加えることができる。接触添加剤の加圧方法には(限定することはないが)、ポンプもしくは接触添加剤の一部として又は別に駆動力のみとしての圧縮流体(例えば、ラインを通しておよび「注入器」により押すための混合タンクにおける圧縮流体)があり、該圧縮流体には(限定することはないが)、窒素、水素、燃料ガス、水、炭化水素液体/蒸気、空気および/または酸素がある。空気および酸素は、コークス化プロセスへの潜在的な注入で危険な火事又は爆発の可能性があるため最も望ましくない駆動流体である。「注入器」は、本発明の典型的な実施形態のコークス化プロセスへ接触添加剤を導入するために注入点へ接触添加剤を入れる様々な装置を示す。許容し得る「注入器」には(限定することはないが)、流体噴霧器、窒素アシスト噴霧器、噴霧システム、注入器システム、ランスおよび/または簡単なパイプがある。例えば、注入器システムは、泡層を越えて上昇コークス質量の上方に接触添加剤の注入を維持するために上部ドラムフランジを通して待避する修正ドリルステムとして精緻なものとすることができる。接触添加剤を加える他の注入点(すなわちコークス化プロセスにおける前記様々な点)(限定することはない)には、コークス化プロセス供給原料ライン、コークス化プロセス蒸気ライン、コークス化プロセス精留塔、コークス化プロセス供給原料ポンプ、コークス化プロセスヒーター、またはその組み合わせがある。接触添加剤を注入できる他の処理流(限定することはない)には、コークス化プロセス供給原料、コークス化プロセスリサイクル、コークス化プロセスヒーター供給原料、コークス化プロセスヒーター出口流、コークス化容器入口流、コークス化容器蒸気、コークス化プロセス精留残油またはその組み合わせがある。] [0052] 本発明の典型的な実施形態に対する接触添加剤パッケージにはまた、多くの製油所で用いて泡移動を防ぐ消泡溶液がある。かかる消泡溶液は、蒸気/液体界面(または泡層)での泡をその気泡の表面張力への作用によって壊すのを助けるシロキサンを通常含む高密度の化学薬品である。多くの場合、本発明の添加剤パッケージが消泡溶液と同じ特性のいくつかを付与することができ、別の消泡剤の必要性を大きく減少させる。加えて、現存の消泡システムは、長期的にはもはや必要ではないが、商業試験および/または本発明の実施に関して修正できる。すべてのコークス化容器が泡層を持つわけではない(供給原料特性および操作条件に依存する)ことに留意されたい。したがって、「泡層」が最遅延コーカーにおいて同義であるが、蒸気/液層界面をしばしば用いる。] [0053] 前記接触添加剤は、(1)触媒を提供して所望の化学反応の活性化エネルギーを減少すること、および/または(2)過剰反応体および適切な反応条件を提供して蒸気相、液相、固相、準固体相またはその任意の組み合わせにおける所望の化学反応を促進することによって、コークス化プロセスのあらゆる供給原料成分、中間化学種、分解液体または蒸気生成を触媒転化すると考えられる。すなわち、十分な活性(例えば活性部位)、十分な選択性、および十拡散抵抗を減ずるに分な空隙率を有する触媒含有接触添加剤を、過剰反応体、急冷剤、播種剤、キャリア流体および/または消泡剤の有無で用いて、所望の生成物を生成する所望の化学反応に対する適切な条件を達成する。前記触媒は、固体、液体および/またはガスであり、本来均一または不均一である。かかる触媒は気相、液相、固相またはその任意の組み合わせにおいてコークス化プロセスの反応体と反応することができる。ほとんどの場合、(1)反応体が触媒の活性部位に拡散し、(2)反応体が反応して所望の生成物、副生成物、またはその組み合わせを形成し、また(3)生成物および/または副生成物が触媒の活性部位から拡散する。接触添加剤をコークス塊上のコークス化容器における生成物蒸気に注入する場合、接触添加剤の局所的な急冷効果が、蒸気中の最高沸点成分(例えば重質芳香族)が触媒および/または播種剤上で凝縮するのを生起し、該最高沸点成分を触媒の活性部位に選択的に露呈する。このようにして、これらの凝縮物質を再蒸発させてこれら(触媒、最高沸点物質および他の添加剤成分)を蒸気/液体界面に置いて再加熱した後、選択的分解が液相または気相において起こる。反応体の分解後、低沸点の分解液体生成物が蒸発し、および/またはその後触媒の活性部位を離れる。この蒸発は、次の最高沸点成分を凝縮する他の局所的冷却効果をもたらす。考えられる限り、このプロセスは触媒活性部位が遮断、被毒、またはさもなければ無効になる、すなわちコークス化サイクルが終わるまで繰り返す。いくつかの接触分解(コークス化に対して)反応(例えば重質芳香族)用の平衡は、十分な滞留時間、適切な触媒空隙率および活性レベルを与えると、より低い温度(例えば600〜875°F対875〜925°F)を支持することを示す。接触添加剤を注入すると、コークス化容器における生成物蒸気の温度が華氏750〜875度となる。添加剤の整定時間および蒸気/液体界面(すなわち泡層、液層およびコークス層)またはその下での時間は、他の接触分解ユニット(例えばFCCU)で遭遇するものよりはるかに長い滞留時間を提供する。したがって、特定の炭化水素を分解する能力は、この触媒分解方法によって強化される。理想的には、多くの用途における添加剤の活性部位が、蒸気/液体界面(または泡層)、液層またはコークス層に到達する前後で、さらなる炭化水素成分を分解および/またはコークス化し、石油コークス内に組み込まれ前に、繰り返し炭化水素を分解する。本発明は、この操作理論によって限定されるべきでない。しかし、この種類の接触添加剤パッケージの注入と、様々な供給原料成分、中間化学種、分解液体および/または蒸気生成物の選択的分解およびコークス化とは共に、石油コークス化プロセスにおける従来の知識および現在の傾向と正反対である。] [0054] 添加剤有効性の増強:コークス化プロセス操作条件におけるマイナーチェンジが、接触添加剤パッケージの有効性を増強し得ることを見出した。コーカー操作条件の変化には、限定することはないが、(1)コークス化容器出口温度を低下させ、(2)コークス化容器出口圧力を上昇させ、(3)コークス化供給原料ヒーター出口温度を低下させるか、又は(4)その組み合わせがある。最初の2個の操作変化は、コークス化容器における滞留時間を増大するために最高沸点物質を生成物蒸気に凝縮する追加の手段を示す。多くの場合、添加剤パッケージは、その急冷効果および該急冷効果を高めるための添加剤パッケージへの急冷剤の内部包接により、生成物蒸気の温度を既に低下させる。この急冷効果は、蒸気の過剰クラッキング反応を少なくし、最高沸点物質の生成物蒸気への凝縮を増加させる。しかし、多くのコークス化ユニットは、コークス化容器および精留塔間の蒸気ラインにおいて生成物蒸気を実質的に急冷してこれらラインのコークス化を防止する。多くの場合、この急冷のいくらかをコークス化容器に上流へ移動させるのが望ましい。いくつかのコークス化ユニットにおいて、これは急冷スプレーノズルの方向(例えば逆流対並流)を簡単に変化させることによって達成できる。前述したように、下流蒸気急冷の釣り合った減少が、コークス化プロセスユニットで同じ全熱バランスを維持するのにしばしば望ましい。コークス化ユニットが従圧式(コンプレッサー)でなければ、コークス化容器圧力の僅かな増加は、多くの場合精留塔へのより少ない蒸気負荷(急冷効果によって起こる)およびそれに関連する問題のために好ましい。最後に、いくつかの場合において、供給原料ヒーター出口温度のわずかな低下は、本発明の典型的な実施形態における添加剤の使用を最適化するために望ましい。いくつかの場合において、重質芳香族およびアスファルテンのコークス化プロセス軽油の「重質テール」成分への分解の減少は、「重質テール」を除去するのに必要な添加剤の量を減じ、コークス形態をショットコークスからスポンジコークス結晶構造へ変化させる有効性を改良することができる。いくつかの場合において、コークス化プロセスにおける他の操作変化が、本発明の典型的な実施形態の有効性を改良するのに望ましい。] [0055] 本発明の典型的な実施形態の実践的な用途において、方法および実施形態の最適な組み合わせは大きく異なる。すなわち、特定のコークス化プロセスおよび製油所の部位特異性の設計および操作パラメータを適切に考慮する必要がある。これらの要因(限定することはない)には、コーカー設計、コーカー供給原料、および他の製油所操作の効果がある。本発明によって、当業者はここに示す方法および実施形態の最適な組み合わせを容易に画定し、特定のコークス化プロセスおよび製油所の部位特異性の設計および操作パラメータに適用することができる。] [0056] 添加剤反応体の説明:本発明の典型的な実施形態は、通常接触添加剤を蒸気/液体界面もしくはその上方で、或いはまたコークス界面(すなわちコークス/液体界面)もしくはその上方でコークス化プロセスのコークス化容器に導入する。このように、本発明の典型的な実施形態における触媒に露呈した主な反応体は、(1)コーカー供給原料の熱的分解および熱的コークス化による蒸気生成物、および(2)触媒の沈降後の液体、乳濁液および泡層(蒸気/液体界面より下の)における基本的にコーカー供給原料誘導体(また供給原料の熱的分解および熱的コークス化による)である。このように、本発明の典型的な実施形態における主な接触反応体は、触媒をコークス化プロセスのコーカー供給原料に加える従来技術の反応体と化学的および物理的特性が実質的に異なる。] [0057] コークス化プロセスの炭化水素供給原料は、通常華氏1050度以上の理論沸点を有する極めて重質の芳香族(例えばアスファルテン、樹脂など)からなる残油処理流(例えば真空塔残油)である。コーカー供給原料成分用のSARAの一般的な範囲(重量%)は、以下の通り:1〜10%飽和炭化水素、10〜50%芳香族、30〜60%樹脂および15〜40%アスファルテンである。このように、従来技術の触媒に露呈した主な反応体は、著しく高いコークス性向、とくにコーカー供給原料における高いバナジウムおよびニッケル含量への露呈を有する重質芳香族である。さらに、コーカー供給原料における鉱物質は、コークス化をさらに促進する播種剤として機能する傾向がある。コーカー供給原料におけるカルシウム、ナトリウムおよび鉄化合物/粒子は、とくにコーカー供給原料ヒーターにおいてコークス化を促進することが分かっている。同様に、触媒も播種剤として機能する。] [0058] 物理的な観点から見ると、従来技術の主な反応体(すなわち供給原料における触媒)は、コーカー供給原料ヒーターへの入口で非常に粘度の高い液体(一部は準固体)である。ヒーターを通してコークスドラムへの供給原料は主に熱い液体、いくらかの固体(供給無機物およびコークス化からの)、および蒸気(例えばコーカー供給原料分解から)となる。ドラムへの入口での多相物質の温度は、通常華氏900〜950度である。] [0059] 逆に、本発明の典型的実施形態における触媒反応体は、主としてコーカー供給原料の誘導体(または部分的に分解した部分)である。すなわち、本発明の典型的な実施形態における接触添加剤に露呈した反応体は、ほとんどコーカー供給原料の熱的分解および熱的コークス化の生成物である。本発明の典型的な実施形態の接触添加剤は、触媒がコークス化界面(例えばコークス/液体界面)の上方で液体に沈降し固体コークスの一部となるとき、コークス化プロセス供給原料成分への露呈が極めて限定される。ここでも、ほとんどのコークス供給原料が、より低いコークス性向を有する小さい化合物(コークス化プロセス供給原料に対して)に転化した。したがって、本発明の触媒添加剤に露呈した反応体は、従来技術におけるコークス化プロセス供給原料に導入した触媒に露呈するコーカー供給原料の成分よりも著しく分解しやすい。] [0060] コークス化容器における蒸気/液体界面またはその上方の生成物蒸気は、コークス化容器におけるこの点の上流で熱的分解するコーカー供給原料成分の様々な誘導体から成る。従来技術において、これら生成物蒸気はコークス化容器を出るまで熱的分解を続け、通常蒸気ラインで急冷してコークス化および分解反応を停止する。精留後、これら生成物蒸気(多くは凝縮された)は、通常沸点範囲によって以下の群:ガス(華氏90度未満)、軽質ナフサ(およそ華氏90〜190度)、重質ナフサ(およそ華氏190〜330度)、軽質コーカー軽油(LCGO)(およそ華氏330〜610度)、重質コーカー軽油(HCGO)(およそ華氏610〜800度)、およびコーカーリサイクル(およそ華氏800度以上)に分類される。コークス化容器における蒸気生成物は、本発明の接触添加剤に露呈する時間内の任意の点で同じ沸点分類を有すると考えられる。しかし、蒸気生成物は、蒸気ラインおよび精留塔の前に蒸気における更なる熱的分解により精留塔からのものよりも重質の生成物を高い割合で有することが認識されている。言い換えれば、精留塔からさらに上流にあるほど、重質生成物の割合が高くなる。] [0061] 蒸気/液層界面の下方(コークス界面下およびその下方)で、固体、液体および蒸気は、ほとんどが転化したコーカー供給成分の化学化合物から成る。本発明の典型的実施形態における触媒が泡および液層内に沈降すると、これら固体、液体および蒸気に露呈するかもしれない。多くの場合、固体部分は、コーカー供給原料成分の熱的コークス化のコークスを示す。これら層中の液体および準固体部分は、コーカー供給原料の成分を含むが、多くの液体がこの点、とくにコークス化サイクルの終わりに向けた点でのコーカー供給原料の誘導体(または分解した)成分である。このレベルで、コークス化界面から出る蒸気は、基本的に分解コーカー供給原料成分、重質飽和物の誘導体、芳香族物、樹脂及び華氏1050度以上の理論的沸点を有するアスファルテンである。本発明の典型的な実施形態の触媒は、該触媒がコークス層の一部となっても、分解及びコークス化反応をまだ容易にする。このレベルで、触媒は、コーカー供給原料の誘導体:コークス層中を通るコークスおよび蒸気/液体に主として露呈される。結論として、蒸気/液体界面およびその下方に沈降した後でさえ、本発明の典型的な実施形態における触媒は、分解およびコークス化反応を促進する(本発明の特有の態様)。これらのレベルでさえ、触媒のより高いコークス性向を有するコークス供給原料成分への全体的な露呈は限定される。] [0062] 精製産業の既知の技術において、生成物の分類は、低沸点、中程度の沸点、および高沸点材料または生成物の広い分類を有する。一般的に、低沸点生成物の分類には、室温・大気圧で気相であるメタン、エタン、プロパン、ブタンおよび対応するオレフィンを含む化学化合物がある。これら化合物は、通常華氏90度未満の沸点を有し、各分子における炭素原子の数について当業界ではC4と一般的に呼ぶ。中程度の沸点の生成物は、通常室温・大気圧で液体であり、沸点は華氏90〜610度である。中間留分を含むこれら中程度の沸点の生成物のほとんどを、直接またはさらなる処理(例えば水素化、改質、異性化)後に液体輸送燃料内に混合して生成物の品質を改良する。一般に、高沸点材料は、中間留分よりも高い沸点範囲を有する精製処理流であると考えられる。これら処理流は、液体輸送燃料内に混合し得る前にその沸点範囲を下げるために更なる処理(例えば水素化分解器または流体接触分解ユニット)を通常必要とする。一般に、これらの材料は、中間留分の最高エンドポイントよりも高い沸点を有する。通常、軽質軽油のエンドポイントはほぼ華氏610度である。] [0063] この従来技術をコークス化プロセスに適用すると、コーカーリサイクルおよび重質コーカー軽油(HCGO)は、コークス化容器における生成物蒸気の「高沸点材料」として分類される。本明細書の他の部分において説明したように、本発明のいくつかの典型的な実施形態は、接触添加剤を用いて、蒸気生成物を急冷し、生成物蒸気中の「最高沸点材料」を凝縮する。これら最高沸点材料を凝縮することによって、本発明の典型的な実施形態は、コーカーリサイクルおよび/またはHCGOの一部の最重質成分の滞留時間を増大する「内部リサイクル」を主に生成する。加えて、この「内部リサイクル」を用いて、触媒との緊密な接触を付与し、一層選択的および効率的にし、これにより触媒の要件およびコストを下げることができる。しかし、これら最高沸点材料が高温または他の局所的な熱源(例えば隣接する分子の凝縮からの熱放出)のために蒸発するコークス化容器におけるレベルに触媒が整定するまで、液相中でこれら非常に大きい分子を用いて有効に分解するするように触媒を設計する必要がある。この「内部リサイクル」の量は、(1)従来技術のコークス化容器出口温度、(2)接触添加剤の量およびそれに関連する急冷効果、(3)コーカーリサイクルおよび重質コーカー軽油の量および品質を含む様々な因子に依存する。本発明の典型的な実施形態において、コークス化容器の生成物蒸気における最高沸点材料の接触分解を当業者に可能にして、従来のコーカーリサイクル(すなわち外部)の量を減少させ、および/またはHCGOにおける「重質テール」の量を減少させる。かかる減少は、精留塔操作におけるHCGOのエンドポイントを調整することによって最適化することができる。] [0064] 物理的な観点から、本発明の一次接触反応体は、主に、蒸気、最高沸点蒸気の凝縮液体、およびコークス界面(触媒が蒸気/液体界面およびその下方に沈降した後)での液体、準固体および固体である。一次反応体の温度は、通常875°F未満であり、これは通常高い滞留時間および反応平衡でこれら低温を好む芳香族分解(コークス化に対して)により寄与することができる。物理的には、本発明の典型的な実施形態の一次接触反応体は、従来技術の主な触媒反応体と実質的に異なり、コークス化にほとんど寄与しない。] [0065] 要約すると、本発明の典型的な実施形態に対する触媒反応体の化学的および物理的特性は、既知技術の接触反応体の化学的特性と比較すると、大きく異なる。すなわち、本発明の典型的な実施形態の触媒添加剤は、通常コークス化プロセスの主な分解およびコークス化領域の下流でコークス化容器に加える。この場合、一次反応体はコーカー供給原料の広大な分解およびコークス化後のコーカー供給原料の誘導体:コーカーリサイクル、重質コーカー軽油(HCGO)、軽質コーカー軽油(LCGO)、ナフサ、および1分子当たり5個未満の炭素原子を有する様々なガスである。コーカー生成物蒸気中の最高沸点材料(例えばおよそ華氏800度以上)は、コーカーリサイクルおよび重質コーカー軽油の「重質テール」である。その結果、本発明の典型的な実施形態の触媒に露呈した一次反応体は、既知の技術よりもより分解(コークス化に対して)に寄与し得る実質的に小さい分子である。化学的には、本発明の典型的な実施形態の一次接触反応体は、既知の技術の一次接触反応体と大きく異なり、よりコークス化に寄与しにくい。] [0066] 本発明における一次反応体の物理的および化学的特性は、流体接触分解ユニット(FCCU)におけるものに一層類似している。すなわち、典型的なFCCUは、コークス化プロセスにより発生したHCGOをさらに処理する。一般に、FCCUを用いて、低圧、限定水素および僅かに高い温度での類似操作環境においてHCGOの高沸点材料(例えばおよそ華氏610度以上)を転化(接触分解)する。しかし、本発明の典型的な実施形態における触媒に対する大幅に長い残留時間(潜在的には時間対秒)は、より密接に平衡値に近づく反応速度論を有する触媒の効率的な使用を達成する点で有利である。] [0067] 流体接触分解プロセスの差別化:精製産業における既知の技術の流体接触分解は、本発明の典型的な実施形態のコークス化プロセスのコークス化容器における接触添加剤の導入とは大きく異なる。流体接触分解(FCC)プロセスは、通常特別に設計した反応器(例えば供給原料ライザ−と濃密ベッド反応器との組合せ)において高沸点炭化水素供給原料を流動化した触媒粒子に導入する。高沸点供給原料には、通常重質大気軽油、真空軽油、および/または重質コーカー軽油(HCGO)がある。触媒は、分解反応の活性化エネルギーを十分に下げて、これら高沸点材料をガソリンおよび中間留分を含むより低沸点の炭化水素生成物に接触分解するのを好適に促進する。加えて、FCC触媒もいくらかのコークス化反応を促進する。したがって、FCCプロセスはまた、触媒上に残りその活性をすばやく下げるコークスを生成する。その結果、触媒を再生化容器に循環させ、触媒上のコークスを燃やして触媒活性を許容し得るレベルまで再生する。] [0068] FCC反応器の反応条件はまた、コークス化容器の蒸気領域と大幅に異なる。両方のプロセスにおける接触反応体には重質コーカー軽油があるが、コークス化プロセスのコークス化容器における蒸気生成物には、コーカーリサイクル成分中の高沸点化合物および軽質コーカー軽油の成分中の低沸点化合物、ナフサ、およびガスがある。一般に、FCC反応器圧力(例えば8〜12psig)は、コークス化容器(例えば12〜25psig)よりも少し低い。FCC反応器温度(例えば華氏900〜1000度)は、コークス化容器(例えば華氏800〜900度)よりも大幅に高い。さらに、反応体への触媒露呈の滞留時間は、大きく異なり:FCCは通常秒単位で測定し、コークス化容器中の触媒は考えられる限りコークス化容器生成物蒸気における流動化を含む様々な因子に応じて、数分〜数時間触媒反応を続ける。それらは共に低い水素分圧を有するが、長い滞留時間および低温がコークス化容器における芳香族化合物の分解に著しく有利に働く。] [0069] 結論として、本発明の典型的な実施形態におけるコークス化容器での接触分解は、既知の技術の流体接触分解と大きく異なる。様々なタイプのFCC触媒(例えば、平衡、新しいなど)は、本発明の様々な実施形態に対して所望の特性を有する種類の触媒であることに留意されたい。この点に関し、特定の反応体(例えばHCGO)の接触分解およびコークス化反応は、同様の特性を有することが期待される。しかし、基本的な反応器設計および反応条件は大きく異なる。] [0070] 本発明の典型的な実施形態の有用性:精製コンピュータ最適化モデルを用いて本発明の典型的な実施形態の有用性を確立することができる。ほとんどの製油所は、現在精製最適化モデル(例えばLPモデル)を用いて、精製プロセス操作を最適化し、精製プロセススキーム、精製原油混合、および最終生成物の市場価値に基づいた利益(または他の対象物)を最大化する。一般に、最適化モデルは、その生成プロセススキームにおける各精製プロセス用の個々のモデルを有し、その性能および能力を最も利用する最適な操作に近づける。これらの精製モデルは、通常コークス化プロセスの供給原料および生成物を含む様々な処理流の価値を計算する。いくつかのモデルにおいて、コークス化プロセスの本発明の典型的な実施形態における「内部リサイクル」の値は、プロセス能力および関連する生成物に対する効果に基づいて評価する。これらの値は、通常バレル基準に対してドル(すなわち$/Bbl)で示すが、ポンド対セント(c/Lb)にも容易に変換できる。一般に、コーカー処理流の相対ランキング(c/Lbで最低から最高値まで)は以下の通り:コークス(最低)、リサイクル、供給原料、精製燃料ガス、HCGO,LCGO,ナフサ,LPG,およびガス状オレフィン(最高)である。HCGO、LCGOおよびナフサの価値は同程度であり、実際、精製プロセススキームおよび精製原油混合における差異によって、製油所から製油所での相対ランクングが異なる。例えば、LCGOおよびナフサに対するFCC能力および/または下流処理ユニットの能力は、それらの相対価値に影響を有する。FCC能力を制限する製油所においては、本発明の典型的な実施形態を用いて、HCGOからLCGO、ナフサおよび軽質成分へ分解する漸進能力としてコークス化プロセスを用いる機会が存在する。多くの製油所において、精製燃料ガスはコークスよりも10倍以上の価値があり、他の処理流は15〜20倍の価値がある。その結果、コークスからの高沸点材料を分解する本発明の典型的な実施形態のほとんどは、非常に有用性が高い。この一般的な規則の例外は、HCGOまたは重質材料の一部のコークス化がコークス化プロセスまたは下流プロセス(例えば良質のHCGOによるFCC)の操作を改良し良い値を与える製油所において存在する。加えて、HCGO中の望ましくない材料をコークス化する本発明の典型的な実施形態は、コークス品質を改良し、コークス価値を十分に高める一方、HCGO品質を改良して、下流処理装置(例えばFCC)における操作問題を減ずる。] [0071] 結論として、本発明の最も好ましい典型的な実施形態は、その経済的または性能向上の価値に依存する。多くの製油所において、最高の生成物の性能向上値は、コークスを形成する最高沸点材料を分解することである。したがって、少量のコークスおよび多量の液体を生成する本発明の典型的な実施形態は、最高の性能向上の価値を提供する。] [0072] 低沸点オレフィンを増加させる触媒のオレフィン生成特性の使用:本発明の他の典型的な実施形態は、新たに開発したおよび/または現存するタイプの触媒からのオレフィン生成を用いて、アルキル化処理ユニット供給原料用の軽質オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン)の生産、酸化物の生産、およびプラスチック製造のような石油化学原料を増加させることである。現在、多くの製油所は、これら軽質オレフィンの十分な生産および十分な市場(例えば地方)またはプロセススキーム(例えばアルキル化ユニット)を有し、これら軽質オレフィンを精製燃料ガスまたは液体石油ガス(LPG)留分から分離する。他の製油所において、これらオレフィンの生産における相当な増加は、これら石油化学供給原料の価値が高いためこの分離装置を加えるのに十分である。したがって、コークス化プロセスのガス生成物における軽質オレフィンの生成は、本発明の典型的な実施形態における価値または有用性を増加させる。] [0073] 他の典型的実施形態と同様に、コークス化プロセスにおける接触添加剤の注入(好ましくは本発明の多くの典型的実施形態におけるコークス化容器において)を用いて、現存するタイプの酸触媒(限定することはないが、従来の製油所における通常の流体接触分解ユニット(FCCU)の触媒を含む)でのオレフィン生産を最適化する。一般に、低活性触媒を用いて分解に十分な酸密度を付与するが、より低い水素活性レベルを維持してパラフィンよりもオレフィンを優先的に生成する。しかし、新しい触媒を開発して、所定の供給原料または接触添加剤の注入レベルに対してコークス化プロセスのガス生産で生成したオレフィンの量を増加(または最大化)することも期待する。] [0074] 本発明の典型的な実施形態は、優先権書類に説明した発明に対する改良である。すなわち、本発明の典型的な実施形態は、すでに以前説明した現存する触媒から新しい利益(コークス化プロセスで期待されなかった結果と共に)を示し、また新しい触媒の処方の開発または使用を必ずしも必要としない。しかし、この特定の機能に対して新しい触媒の処方の開発は、とくに増加したオレフィンが適切な分離装置を必要とする用途において、大きな有用性を与える。本発明のこの典型的な実施形態は、石油化学供給原料の大量生産に連動する製油所においてより有効である。] [0075] 本発明の動作:図1における装置の動作は、適切な添加剤混合物を画定した後に行う。予備試験(例えば商業化実証)において画定したそれぞれの品質および量を有する成分を、加熱した(例えば蒸気コイル)混合タンク(または他の混合手段と温度制御手段)に加える。混合がバッチ式であろうと連続式であろうと、本発明の添加剤の注入を所定の点および時間でコークス化プロセスに加えて、コークス化プロセスが進行する間所望の反応を達成するようにする。連続注入が通常好ましいが、必要ではない。例えば、連続注入は、遅延コークス化の準連続プロセスにおけるコークス化サイクルの中であるドラムにおいて起こる。しかし、この場合、コークス化サイクルの始まりおよび終わりでの注入は、加温および消泡の問題により好ましくない。好ましくは、本発明の添加剤の流速は、コークス化プロセスの供給原料の流速に比例(例えば1.5重量%)し、従ってコークス化プロセス供給原料流速の変化にしたがって調整される。] 図1 [0076] 一般的な典型的実施形態において、添加剤パッケージは、コークス化プロセスにおけるコーカー供給原料、中間化学種、分解液体、蒸気生成物および/または他の処理流との所望の反応を促進するように設計する。これは、触媒の選択によって主に達成される。触媒の基質、含浸材料、活性、選択性、転化、効率および/または空隙率特性は、コークス化プロセスにおける接触分解からの反応体(例えば軽油)および生成物(例えばナフサおよび燃料ガス)の種類を画定する。例えば、流体接触分解ユニット(例えばFCCU)での分解に従来用いる分解触媒は、様々な炭化水素分子を軽質「分解液体」に分解する用途において非常に有効である。或いはまた、残りの分解触媒は、高度のメソ細孔と、高沸点成分の大きな分子が触媒の活性分解部位により接近しやすくし得る他の特性とを有する。加えて、添加剤パッケージの他の成分は、コークス化反応よりも分解反応に影響を与える。前述したように、様々な触媒を上述の目的に対して設計し、特に触媒をコーカー供給原料、中間化学種、分解液体、蒸気生成物および/または他のコーカー処理流の選択的分解をより大きく達成するように設計する。これは、高沸点の炭化水素を蒸気としてコークス化容器を通り下流の精留塔に入る低沸点炭化水素に分解することで、前記低沸点炭化水素がオイル精製生成物混合に有用な低沸点炭化水素処理流に分離される。かかる低沸点炭化水素処理流には、ナフサ、軽油、ガソリン、ケロシン、ジェット燃料、ディーゼル燃料、加熱油、液体石油ガスおよび燃料ガスがある。] [0077] 多くの場合、様々なコーカー処理流の「分解液体」生成物への追加の選択的分解の達成は、使用済みまたは再生触媒に対する新しい分解触媒のコストに価値がある。この経済的画定は、コーカー処理流の化学構造に依存する。] [0078] その好ましい実施形態において、接触添加剤がコーカー供給原料または中間化学種の重質成分を選択的に分解して、さらなる分解液体を生成する一方、コークス生産を減少させ、および/または蒸気における分解反応を急冷してガス生産を減少させる。] [0079] 一般的な典型的実施形態の実施例:本発明をより十分に説明するため、以下の実施例を示す。これら実施例に示したデータは、パイロット規模のバッチ式コーカーシステムにおいて得られた。このパイロット規模のコーカーシステムの主な構成物は、内径3.0インチおよび高さ39インチのステンレス鋼製円筒型反応器である。促進キャビティポンプは、コーカー供給原料をミキサーを有する加熱した供給原料タンクから予熱器およびコーカー反応器に移送する。各テスト用の名目供給原料装填量は、4〜5時間で4000〜5000グラムである。予熱器およびコーカーの温度を断熱炉で所望の設定点に電気的に制御する。背圧制御器を用いて所望の反応器圧力を維持する。このパイロット規模のシステムを用いて、従来技術を超えた本発明の利益を実証するためのデータを出す。すなわち、本発明の触媒添加剤のコークス化容器内への注入および従来技術のコーカー供給原料への触媒の添加を、触媒のない通常のベースラインに対し比較した。 比較試験例1および2] [0080] 商業用製油所からのコーカー供給原料を用いて、同量の触媒Bを用いた2個のテストに対するデータを取った。操作条件および試験結果を以下の表に示す。] [0081] ] [0082] ラン番号94100対94CT−1対94対100供給原料混合物ユニット100%バレロ減圧残油100%バレロ減圧残油バレロ減圧残油+、触媒B,消泡剤平均ドラム圧力psig18.419.619.5平均ドラム温度コークスドラム入口温度℃483485487 コークスドラム低部/中部温度℃463456457 コークスドラム頭部温度℃421430427反応器へ供給した材料グラム481450004543試験時間分290270平均供給原料流速g/分17.216.8頂部で注入頂部で注入供給原料における触媒デカントしたスラリー油w/消泡剤グラム1601803.6%触媒システムN/ABB 触媒の量(スラリーの重量%)グラム0.024.113.4%触媒なし、スラリー 触媒の量(供給原料の重量%)グラム0.024.10.5%21.90.5%試験結果反応器へ供給された材料グラム481450004543生成物コークスグラム161315841672液体グラム255727832323ガスグラム644633548生成物収率コークス重量%33.5%31.7%−5.5%36.8%9.8%16.2%液体重量%53.1%55.7%4.8%51.1%−3.7%−8.1%ガス重量%13.4%12.7%−5.4%12.1%−9.9%−4.8%] [0083] 上述の表において、既知技術の触媒添加は、コークス化における十分な増加と、液体収率における顕著な減少を示した。逆に、本発明の接触添加剤の注入は、コークス収率における十分な減少と、液体生産における顕著な増加を示した。したがって、これらの試験は、本発明と既知技術との違いを明らかに実証する。前述したように、これらの結果は、触媒に露呈した一次反応体の化学的および物理的性質における大きな違いによるものである。 比較試験例2,3および4] [0084] 同様に、同じ商業用製油所からのコーカー供給原料を用いて、同量の触媒Cを用いた3個のテストに対するデータを取った。操作条件および試験結果を以下の表に示す。] [0085] ] [0086] ラン番号94108対94CT−2対94対100CT−3対94対100供給原料混合物ユニット100%バレロ減圧残油100%バレロ減圧残油バレロ減圧残油+、触媒B,消泡剤バレロ減圧残油+、触媒B,消泡剤平均ドラム圧力psig18.417.417.517.5平均ドラム温度コークスドラム入口温度℃483480476477 コークスドラム低部/中部温度℃463455455455 コークスドラム頭部温度℃421429431432反応器へ供給した材料グラム4814406239523715試験時間分279281263平均供給原料流速g/分14.614.114.1頂部で注入頂部で注入供給原料における触媒供給原料における触媒デカントしたスラリー油w/消泡剤グラム1601393.4%触媒システムN/ACCC 触媒の量(スラリーの重量%)グラム0.019.313.9%触媒なし、スラリー触媒なし、スラリー 触媒の量(供給原料の重量%)グラム0.019.30.5%18.80.5%17.70.5%試験結果反応器へ供給された材料グラム4814406239523715生成物コークスグラム1613130913681279液体グラム2557227320091896ガスグラム644480575540生成物収率コークス重量%33.5%32.2%−3.8%34.62%3.3%7.4%34.43%2.7%6.9%液体重量%53.1%56.0%5.4%50.84%−4.3%−9.2%51.04−3.9%−8.8%ガス重量%13.4%11.8%−11.7%14.55%8.7%23.1%14.54%8.6%23.0%] [0087] 上述の表において、既知技術の触媒添加は、コークス化における十分な増加と、液体収率における顕著な減少を示した。逆に、本発明の接触添加剤の注入は、コークス収率における十分な減少と、液体生産における顕著な増加とを示した。したがって、これら試験は、本発明と既知技術との違いを明らかに実証する。前述したように、これらの結果は、触媒に露呈した一次反応体の化学的および物理的性質における大きな違いによるものである。] [0088] 代案の典型的実施形態の説明および操作 遅延コークス化プロセス 本発明の典型的実施形態が遅延コークス化プロセスを改良する方法は様々である。本発明を遅延コークス化プロセスに組み込む方法の詳細な説明は、遅延コークス化プロセスおよびこの通常の種類のコークス化プロセスにおけるその用途に関連する代案の典型的な実施形態におけるその操作の説明によってする。] [0089] 本発明を組み込んだ通常の遅延コークス化 図2は、既知の技術の通常の遅延コークス化プロセスに関する基本的なプロセスのフローダイヤグラムである。遅延コークス化は、コークス化および脱コークス化サイクルを交互に行う平行コークス化ドラムを有する準連続プロセスである。本発明の典型的な実施形態は、一つ以上の添加剤注入システムを遅延コークス化プロセス装置に組み込む。本発明の典型的な実施形態を有する操作は、以下で説明するように、類似しているが大きく異なる。] 図2 [0090] 一般に、遅延コークス化は、コークスドラムにおいて分解およびコークス化反応を完了するために必要な熱を供給する炉を備えた吸熱反応である。遅延コークス化の正確な機構は複雑で、起こるすべての様々な化学反応を画定できないが、3個の異なる工程が行われる: 1.炉を通過する際の供給原料の部分的揮発および軽度の分解 2.コークスドラムを通過する際の蒸気の分解 3.蒸気またはコークスに転化するまでのドラムに閉じ込められた重質液体の連続的な分解および重合] [0091] コークス化サイクルにおいて、コーカー供給原料を加熱し、いっぱいになるまでコークスドラムに移送する。熱い残油供給原料10(ほとんどは真空塔残油)をコーカー精留塔12の底部に導入し、ここで凝縮リサイクルと結合する。この混合物14をコーカーヒーター16に圧送し、ここで所望のコークス化温度(通常は華氏900度〜華氏950度)を達成して部分的揮発および軽度の分解を生起する。スチームまたはボイラー供給水18をヒーター管にしばしば注入して炉内の供給原料のコークス化を防ぐ。一般に、ヒーター出口温度は、制御弁22に信号を送ってヒーターへの燃料24の量を調整する温度計20によって制御される。蒸気−液体混合物26は、ヒーターを出て、制御弁27によってコークス化ドラム28に迂回させる。十分な残留時間をコークス化ドラムにおいて提供して、熱的分解およびコークス化反応が完了するようにする。ヒーター装填物がコークスドラムに達するまでコークス化反応を意図的に「遅延」する。このようにして、蒸気−液体混合物をドラムで熱的に分解して、揮発してコークスドラムを出る軽質炭化水素を生成する。ドラム蒸気ライン温度29(すなわちコークスドラムを出る蒸気の温度)は、平均ドラム温度を示すのに用いる測定パラメータである。通常、急冷媒体(例えば軽油)を蒸気ラインに加えて蒸気を急冷する。石油コークスおよびいくらかの残油(例えば分解した炭化水素)がコークスドラムに残る。コークスドラムがコークスで十分いっぱいになったら、コークス化サイクルが終わる。次いで、ヒーター出口装填物を第1のコークスドラムから並列コークスドラムに切り替えて、そのコークス化サイクルを開始する。一方、脱コークス化サイクルが第1コークスドラムにおいて開始する。軽質炭化水素38を揮発し、コークスドラムから除去し、コーカー精留塔12に移送し、ここでそれらを分離および回収する。コーカー重質軽油(HGO)40およびコーカー軽質軽油(LGO)42を所望の沸点温度範囲:HGO:およそ650〜970度、LGO:およそ400〜650度で精留塔から引き上る。精留塔の頂部流であるコーカーウェットガス44は分離器46へ移動し、ここで乾燥ガス48、水50および不安定なナフサ52に分離される。還流留分54は、精留塔にしばしば戻される。] [0092] 脱コークス化サイクルにおいて、コークス化ドラムの内容物を冷却し、残った揮発性炭化水素を除去し、コークスをドラムから取り出し、コークスドラムを次のコークス化サイクルのために準備する。コークスの冷却は通常3個の異なる段階で起こる。第1段階においては、コークスを冷却し、スチームまたは他のストリッピング媒体30によってストリッピングし、取り込まれた又はコークス内に残る回収可能な炭化水素の除去を経済的に最大化する。冷却の第2段階においては、水または他の冷却媒体32を注入してコークスドラムへの熱的ショックを避けながらドラム温度を下げる。この冷却媒体から水をさらに揮発させて、追加の揮発可能な炭化水素の除去を促進する。最終的な冷却段階においては、ドラムを水または他の急冷媒体34によって急冷して、ドラム温度を安全なコークス除去に好ましい条件まで急速に下げる。急冷の完了後、ドラムの底部および頭頂部を除去する。次いで、石油コークス36を通常水圧ジェットによって切断し、ドラムから除去する。コークス除去後、ドラム頂部を置き、ドラムを予熱し、次のコークス化サイクル用に準備する。] [0093] 本発明の典型的な実施形態は、新しいか現存する従来の遅延コーカーシステムに容易に組み込むことができる。図3に示すように、このプロセスのフローダイヤグラムは、本発明の実施例を加えた図2の通常の遅延コークス化システムを示す。この簡易化した実施例は、加熱した混合タンク(210)(典型的な混合手段および温度制御手段)の追加を示し、ここで本発明の添加剤の成分:触媒(220)、播種剤(222)、過剰反応体(224)、キャリア流体(226)および/または急冷剤(228)を混合することができる。次いで、混合添加剤(230)を、遅延コークス化プロセスにおける一つ以上の点に適当なサイズのポンプ(250)(典型的な加圧注入手段)および好ましくは適当なサイズの注入ノズル(260)を有するパイプを介して注入する。この場合、ポンプを、添加剤流速の特定の設定点に対するフィードバック制御システムを有する流量計(270)によって制御する。遅延コークス化プロセスにおける前記一つ以上の点(限定することはない)には、熱残油供給原料10、コーカー精留塔12の残油、凝縮リサイクル、供給原料/リサイクル混合物14、コーカーヒーター16、ヒーターから出た蒸気−液体混合物26、およびその組み合わせがある。また、接触添加剤を、供給原料が前記コークス化容器に入る個所またはその上方でコークス化容器に添加する。加えて、接触添加剤を、コーカー供給原料ライン、コーカー蒸気ライン、コーカー精留塔、コーカー供給原料ポンプ、コーカーヒーター、またはその組み合わせに注入することができる。さらに、接触添加剤は、コークス化サイクルの前、コークス化サイクル中、コークス化サイクルの後、またはその組み合わせで導入することができる。] 図2 図3 [0094] 本発明による通常の遅延コークス化のプロセス制御 通常の遅延コークス化において、最適なコーカー操作条件が、遅延コークス化プロセスの多くの経験およびより良い理解に基づいて、何年も進化してきた。操作条件は、通常軽質および重質コーカー軽油含む分解液体生成物への供給原料転化の効率を最大化(または増加)させるように設定する。しかし最近は、いくつかの製油所におけるコーカーがコーカー処理能力を最大化(または増加)させるように変化してきた。] [0095] 一般に、通常の遅延コーカーにおける標的の操作条件は、コーカー供給原料の組成、他の精製操作およびコーカー設計に依存する。他の精製プロセスに関連して、遅延コーカー操作条件は、精油所間で大きく変わる(原油混合物およびプロセススキームまたはシナリオが変わるため)供給原料混合物に大きく依存する。所望のコーカー生成物およびそれに必要な仕様も、特定の製油所における他のプロセス操作に大きく依存する。すなわち、コーカー液体生成物の下流処理は、通常これらを輸送燃料成分に性能改善する。標的の操作条件は、通常特定の製油所の操作を最適化する線形プログラミング(LP)モデルによって確立される。これらLPモデルは、一般に一連のコーカーパイロットプラント研究によって得られた経験的データを用いる。逆に、各パイロットプラント研究は、特定の製油所のコーカー設計をシミュレートするように設計する。適切な操作条件は、特定の供給原料混合物および下流処理要件によって設定された特定の生成物仕様に対して画定される。通常、一連のパイロットプラント研究は、操作条件に対する経験的データを供給原料混合物の変化および液体生成物仕様の必要条件で生み出すように設計される。その結果、コーカー設計および標的操作条件は、製油所間で大きく異なる。] [0096] 商業用操作モードにおいて、様々な操作変数を監視し、所望の遅延コーカー操作を達成する用に制御する。主な独立変数は、供給原料の品質、ヒーター出口温度、コークスドラム圧力、および精留塔のハット温度である。主な従属変数は、リサイクル率、コークス化サイクル時間およびドラム蒸気ライン温度である。以下の標的制御範囲を、通常前記の主な操作条件に対しコークス化サイクルの間維持する: 1.約華氏900度〜約華氏950度の範囲内のヒーター出口温度 2.約15psig〜100psig、通常15〜25psigの範囲内のコークスドラム圧力 3.ハット温度:精留塔における軽油引き上げトレイまで上昇する蒸気の温度 4.0〜100%、通常10〜20%の範囲内のリサイクル率 5.約12〜24時間、通常15〜20時間の範囲内のコークス化サイクル時間 6.ヒーター出口温度よりも華氏50〜100度低い、通常華氏830〜900度のドラム蒸気ライン温度 これら通常の操作変数を用いて、分解液体の品質および様々な生成物の収率を制御する。この議論を通して、「分解液体」は、5個以上の炭素原子を有するコークス化プロセスの炭化水素蒸気生成物を示す。これらは、通常97〜870°Fの沸点を有し、標準条件で液体である。これら炭化水素生成物のほとんどは、更なる精製処理用の価値ある輸送燃料混合成分または供給原料である。その結果、分解液体は通常コークス化プロセスの主な目的物である。] [0097] 過去十年に渡って、いくつかの製油所は、コーカー操作条件を分解液体への供給原料転化の最大効率の代わりにコーカー処理能力を最大化(または増加)することに切り替えてきた。重質原油混合物の処理のために、製油所はしばしば、精製処理能力を限定(または障壁となる)するコークス化処理能力において限界に達する。この障壁を排除するため、製油所はしばしば、コーカー操作条件を変えて3つの方法のうち1つでコーカー処理能力を最大化(または増加)する: 1.コーカーが精留塔(または蒸気)に限定されたら、ドラム圧力を上げる(例えば15から20psigへ) 2.コーカーがドラム(またはコークス生成)に限定されたら、コークス化サイクル時間を減少する(例えば16から12時間へ) 3.コーカーがヒーター(または供給原料)に限定されたら、コーカーリサイクルを減少する(例えば15重量%から12重量%へ) これら操作変更の3個すべては、コーカー処理能力を増加させる。高い処理能力操作の最初の2個は、分解液体への供給原料転化の効率を(すなわち供給原料のバレル当たり)減少させるが、生成した分解液体の全量(すなわちバレル)を最大化(または増加)する。これら操作変更はまた、コークス収率およびコークスVCMを増加させる傾向がある。しかし、ドラム圧力の増加またはコーカーサイクル時間の減少は、通常ヒーター出口およびドラム蒸気ライン温度の釣り合った増加により達成されてコークス収率またはVCMにおけるあらゆる増加を相殺(または制限)する。逆に、リサイクルの減少は、しばしばコークスドラム圧力の減少および重質軽油のエンドポイント(すなわち軽油の最高沸点)の増加によって得られる。軽油のエンドポイントは、部分的に冷却した軽油を有する精留塔において軽油の取り出しと供給原料との間のトレイを還流させることによって制御される。この操作モードは、全液体を増加させ、分解液体への供給原料転化の効率(すなわち供給原料のバレルに対して)を維持する。しかし、液体の増加は、主に、下流処理ユニットで望ましくない最高沸点成分(すなわち「重質テール」)である。このように、遅延コークス化の当業者は、これら最高沸点成分をリサイクル(コーカー処理能力を低下させる)または重質軽油の「重質テール」(下流分解効率を低下させる)のいずれかに原則的に移送する操作を調整することができる。本発明の典型的な実施形態は、(1)コーカー処理能力(限定されたコーカー区域にも関わらず)を増加させる、(2)液体収率を上げる、(3)コークス収率を下げる、(4)ガス生産を減少させる、および/または(5)リサイクル、重質軽油、または両方のいずれかにおける最高沸点成分を実質的に減らす機会を提供する。このようにして、本発明の各用途は、どのプロセスが望ましくない、最高沸点成分を減らすのに好ましいかを画定する。] [0098] 遅延コークス化プロセスに対する本発明の影響 本発明が原油精製所および合成原油用の性能向上システム(例えば貞岩油、タール砂、ビチューメンなど)における現存または新しい遅延コークス化プロセスを改良する種々の方法がある。かかる新しい改良には、限定することはないが、(1)コーカー生成物の量またはコーカー生成物の全収率分布を改良し、(2)一つ以上のコーカー生成物の品質または特性を改良し、(3)コークス化プロセスの操作、維持、処理能力、効率および/またはプロセス代替物を改良し、(4)他の精製処理ユニットに対する操作、維持、処理能力、効率および/またはプロセス代替物を改良し、(5)スポンジコークス形態を促進し、コークス切断における「ホットスポット」を減少するような重質芳香族の接触分解および/またはコークス化、(6)「蒸気過剰分解」を減少させるドラム出口ガスを急冷し、(7)コーカーリサイクル、コークス生産および精留塔の蒸気負荷の減少を介して遅延コークス化プロセスのすべての主要区域(すなわち、ヒーター、ドラム及び精留塔区域)の障害をなくし、および/または(8)原油精製または性能向上システムに増分した接触分解能力を提供することである。] [0099] 遅延コークス化プロセスに対するすべての実施例において、本発明の典型的な実施形態は、特定の製油所の特別な必要条件を満たす接触添加剤を開発する機会を提供する。すなわち、接触添加剤を、製油所の処理スキームおよび原油スレート機会に最も価値がある生成物の品質または収率分布を改良するように特別に設計する。このアプローチは、単に分解液体の収率を上げる接触分解を含むか、またはどのタイプの分解液体が優位であるかを選択的にする接触添加剤をより精緻にすることを含むことができる。同様に、追加の接触添加剤を加えて、特定の設備での所望の生成物(例えば地方のプラスチックプラントに対するプロピレン)を生成する。このアプローチにおいては、各製油所におけるプロセス最適化モデルを、どの接触添加剤が好ましく購入する価値がある(例えばコスト効率性および投資の見返り)かを画定する有効な道具として用いる。] [0100] 多くの本発明の遅延コークス化プロセスの用途において、本発明の典型的な実施形態は、以下の一つ以上を達成することができる:(1)優れたコーカー軽油の品質、(2)優れたコークスの品質および市場価値、(3)少ないガス生産、(4)少ないコークス生産、(5)増加したコーカーおよび製油所能力、(6)安く低品質の原油および/またはコーカー供給原料の増大した使用、(7)下流分解ユニットの増大した効率および操作時間、(8)コーカーおよび下流分解ユニットの減少した操作および維持コスト、(9)石油コークスドラム切断における「ホットスポット」の減少した回数、および/または(10)下流分解ユニットにおける減少した触媒生産および排出である。] [0101] 以下の実施例は、本発明の具体的な用途を提供する。これらの実施例は、接触添加剤の品質および量をコークスの種類およびその関連する市場に対する生成物仕様によって制限することができるため、コークスの品質および市場によって分類される。] [0102] 燃料用コークス用途において、遅延コークス化供給原料は、しばしば高濃度の硫黄および金属を含む重質サワー原油に由来した残油である。このように、硫黄および金属(例えばバナジウムおよびニッケル)を石油コークスに凝縮し、燃料市場においてのみ使用可能とする。一般に、重質サワー原油は、コークス化プロセス供給原料により高いアスファルテン含量をもたらす傾向がある。その結果、望ましくない「重質テール」成分(例えばPAH)がより目立ち、下流接触ユニット(例えば分解)において大きな問題を示す。加えて、高アスファルテン含量(例えば15重量%以上)は、ショットコークス結晶構造をしばしばもたらし、コークス切断「ホットスポット」および燃料粉砕の困難さを生起する。] [0103] 前述したすべての遅延コークス化システムに対する利益に加えて、本発明の典型的な実施形態はさらに、通常の遅延コークス化プロセスのコーカー軽油中の「重質テール」成分(例えばPAH)の選択的分解およびコークス化を提供する。軽油のエンドポイントを、華氏1050度以上から華氏1000度またはそれ未満(例えば、好ましくは華氏950度未満)に選択的に下げる。多量の添加剤を用いて、重質コーカー軽油およびコーカーリサイクルの付加的な重質成分を選択的に分解またはコークス化することができる。これは、コーカー軽油の品質/価値および下流分解操作の性能を改良する。加えて、PAHの選択的分解および蒸気過剰分解の急冷(熱的および化学的)は、生成物収率の価値を改良し、「分解液体」収率を増加させる。また、高いコークス性向を有する重質成分の減少は、蒸気ラインにおけるコークスの集積を減らし、リサイクルおよびヒーターコークス化を減少させる。] [0104] いくつかの用途において、重質軽油の品質は、コークスを形成する重質成分の過剰な分解によって悪化する。かかる重質成分から十分に分解した液体は、依然として重質経由のエンドポイントの正味の増大をもたらす。しかし、コークス生産の十分な減少は、軽油のエンドポイントの増加または軽油エンドポイントを減少させるリサイクルの増加の価値がある。多くの場合、遅延コーカーが限定されたコークスドラムであり、限定された能力なしにさらなるリサイクルを可能にする。この付加的なリサイクルは、製油所において十分なリサイクルを通して軽油のエンドポイントを維持または改良する。同時に、コーカー処理能力(および精製処理能力)は、ドラム制限コーカーにおけるコークス生産の減少によって増加するが、増加した分解液体のさらなる収益を得る。] [0105] 適切に設計した接触添加剤パッケージ(例えば触媒および過剰反応体)があると、本発明の典型的実施形態はまた、通常の遅延コークス化のコークスドラムにおける「ホットスポット」の問題を軽減するのに用いることができる。すなわち、石油コークスに残り、コークス急冷チャンネルを遮断し、脱コークス化サイクル(例えばコークス切断)の間に「ホットスポット」をもたらす重質液体は、添加剤パッケージ中の触媒および過剰反応体によるさらなる分解(好ましい)またはコークス化を促す。従って、この目的に対する触媒および過剰反応体には、限定することはないが、FCCU触媒、水素化分解触媒、活性炭素、クラッシュコークス、FCCUスラリー油、FCCUサイクル油およびコーカー重質軽油がある。] [0106] 燃料用途において、触媒(例えば金属)の組成が燃料用石油コークス仕様(例えば陽極用に対して)における問題が少ないため、添加剤パッケージにおける触媒の選択には多数の選択がある。したがって、触媒は、望ましくない重質炭化水素(例えばPAH)を含む様々なコーカー供給原料成分、中間化学種および軽油成分を優先的かつに選択的に分解(コークス化に対し)するために基質およびエキゾチック金属を含有する。また、この目的に対する触媒および過剰反応体には、限定することはないが、FCCU触媒、水素化分解触媒、鉄、活性炭素、クラッシュコークス、FCCUスラリー油およびコーカー重質軽油がある。最もコスト効率が高い触媒には、精留塔へのコークス化プロセス生成物蒸気知友での取り込みを防ぐように大きさを決めて注入した下流ユニット(例えばFCCU,水素化分解器および水素処理器)からの使用済みまたは再生済み触媒がある。事実、水素化分解器またはFCCUの使用済み触媒のニッケル含量は、コーカー軽油の望ましくない重質成分(例えばPAH)の選択的コークス化において非常に有効である。以下の実施例を、本発明の典型的な実施形態に対するコスト効率的な触媒源を説明するのに与える。FCCUのFCCU平衡触媒の特定量を通常定期的に(例えば毎日)廃棄し、新しいFCCU触媒に置き換えて活性レベルを保持する。かかる平衡触媒を、しばしば廃棄する前に再生し、本発明の典型的な実施形態において用いて、とくにFCCU触媒をFCCU供給原料における残油を扱うように設計するとき、供給原料成分、中間化学種、分解液体、蒸気生成物または他のコークス化処理流を分解する。平衡触媒が十分な分解触媒活性を提供しないとき、新しい触媒(例えば触媒増強剤)と混合して所望の活性を達成する一方、可許容し得る触媒コストを維持する。最終的に、ある新しい触媒もコスト効率が高い。] [0107] 高程度まで用いるとき、本発明の典型的な実施形態を用いてコークス品質を改良する一方、コークス生成物収率の価値並びにコーカーおよび下流ユニットの優れた操作および維持を改良する。すなわち、コークスのハードグローブ粉砕率(HGI)を増加して粉砕特性および市場価値を改良する。50より大きいHGI値(好ましくは55〜80)が可能である。このように、加熱値を10%まで増大し、燃料用コークスの12〜25重量%(好ましくは13〜18重量%)の揮発性材料(沸点の理論値が華氏950度より高く華氏1780度より低い理論沸点を有するVM)も増加させて燃料の品質を改良する。このようにして、接触添加剤の品質および/または量の増加は、特定の製油所のLPモデルに従って投資の見返りを徐々に改良する。] [0108] この実施例において、本発明はまた、原油製油所または性能向上システム(例えば頁岩油、タール砂、ビチューメンなど)用の逐次接触分解能力を提供する。すなわち、いくつかのコークス化プロセス用途における追加の接触分解は、下流分解ユニットを付加または脱障壁するコスト効率の高い代替物を提供する。触媒のより効率の高い使用を可能にするため、サイクロン(FCCUに用いるものと類似)をコークスドラムの頂部に組み込んで、生成物蒸気への触媒の取り込みを回避する。] [0109] すべての遅延コークス化システムに対する前述した利益に加えて、本発明の典型的実施形態は、様々なタイプの陽極用設備:(1)現在陽極コークスを生成するが、その原油混合物にオポチュニティ原油を加えて原油コストを下げる製油所、および(2)硫黄および金属が十分に低い石油コークスを生成するが、ショットコークス含有量が陽極コークス仕様に対して高すぎる製油所へのさらなる有用性を提供する。どちらの場合においても、本発明の典型的な実施形態を用いて、コーカー供給原料中に相当なアスファルテン(例えば15重量%以上)が存在するにも関わらず、ショットコークス含有量を許容し得るレベルまで減らすことができる。] [0110] 本発明の典型的な実施形態を用いて、現在陽極品質のコークスを生産する製油所は、陽極コークス仕様よりも高いショットコークス含有量をもたらすことなく相当なレベルの重質サワーオポチュニティ重油(例えば5重量%以上)を潜在的に加えることができる。すなわち、本発明の典型的実施形態を用いて、ショットコークス結晶構造よりもスポンジコークス結晶構造(コークス形態)を好ましくは生成するようにして供給原料成分、中間化学種、分解液体および/または生成物蒸気を転化する。したがって、これらの製油所は、陽極品質のコークスおよびそれに関連する高い価値を犠牲にすることなく原油コストを下げる。] [0111] 本発明の典型的な実施形態を用いて、陽極コークス仕様以上のショットコークス含有量を現在生成する製油所は、多くの場合ショットコークス含有量を許容し得るレベルまで下げることができる。すなわち、本発明は、ショットコークス結晶構造よりもスポンジコークス結晶構造(コークス形態)を好ましくは生成するようにして供給原料成分、中間化学種、分解液体および/または生成物蒸気を転化する。したがって、これら製油所は、その石油コークスの価値を上げる一方、コーカー生成物収率およびコーカー操作および管理を維持または改良する。 両陽極コークス化の場合、添加剤パッケージは、不純物をアルミニウム精製プロセスに加える硫黄、窒素、および金属に関してコークス濃度の上昇を最小化するように設計する必要がある。したがって、これらの場合に対する触媒選択の柔軟性が低く、アルミナまたは炭素を基にした(例えば活性炭素またはクラッシュコークス)触媒基質がある。両陽極コークス化の場合、添加剤パッケージをVCMの増加を最小化するおよび/または好ましくは華氏1250度以上の理論沸点を有する追加のVCMを生成するように設計する必要がある。したがって、この添加剤パッケージに対する触媒および過剰反応体を選択して、コークス化容器における高分子量のスポンジコークスの優先的な生成を促進する。この添加剤パッケージを用いて、供給原料成分、中間化学種、分解液体および/または生成物蒸気および過剰反応体の接触コークス化、熱的コークス化および/または顕著な重合を行って、焼成用の許容し得る品質を有する多孔質のスポンジコークスを生成する。] [0112] これらの場合、華氏1250度以上のVCMの最適なレベルは、(1)コークス焼成器における加熱ゾーンの下流に揮発化を提供し、(2)焼成コークスの内部孔中の揮発材料の再コークス化を起こしてコークス密度を増加させるのに望ましい。生成した焼成コークスは、好ましくは、著しく高い振動かさ密度を有し、アルミニウム生産設備用の許容し得る陽極を生成するためにコークス細孔に吸着すべきピッチ結合剤をあまり必要としない。このように、陽極生産コストを下げ、その品質を改良する優れた陽極コークスを生成する。華氏1250度より高いVCMの最適なレベルを超えると、本発明の典型的な実施形態によって生成したあらゆるコークスは、好ましくはVCMを含まない。すなわち、生成したあらゆるコークスは、VCMに対するASTM試験法によって画定されるように、華氏1780度より高い理論沸点を有する。] [0113] すべての遅延コークス化システムに対する前述した利益に加えて、本発明の典型的な実施形態は、様々のタイプのニードルコークス設備に対しさらなる有用性を提供する。ニードルコークス用途において、コークス化プロセスは、好ましくは高い芳香族含有量を有するが非常に低いアスファルテン含有量を有する特別なコーカー供給原料を用いる。このタイプのコーカー供給原料は、所望のニードルコークス結晶構造を達成するのに必要である。これら遅延コーカー操作は、通常のヒーター出口温度およびリサイクル率よりも高い。本発明の典型的な実施形態を用いると、これらコークス化プロセスは、高濃度のアルファルテンおよび低濃度の芳香族を有するニードルコークス結晶構造をコーカー供給原料中で維持する。本発明の典型的な実施形態はまた、電極用の許容し得る品質を有するニードルコークス結晶構造を生成するのに必要なリサイクル率を下げ、潜在的にコーカー能力を上げ、コーカー操作および維持を改良する。このようにして、本発明の典型的な実施形態は、コーカー供給原料コストを減らす一方、潜在的にニードルコークス生産および収益を高くする。]
权利要求:
請求項1 コーキング法に使用されるコークス化用容器に添加剤を導入して、前記コーキング法から得た生成物の量、収率特性、特性、または品質の修正を行うことを含むことを特徴とする方法。 請求項2 前記添加剤は前記コークス化用容器における蒸気と液体との界面の上方の蒸気に添加される請求項1に記載の方法。 請求項3 前記添加剤は、加圧注入によって前記コーキング法に添加される請求項1に記載の方法。 請求項4 前記添加剤は、触媒、播種剤、過剰反応体、急冷剤、キャリア流体またはその任意の組み合わせを含む請求項1に記載の方法。 請求項5 前記触媒は、分解反応、コーキング反応、熱分解反応、水素化反応、水素化分解反応、加水分解反応、付加反応、脱水素化反応、凝縮反応、重合反応、芳香族化反応、オリゴマー化反応、異性化反応またはその任意の組み合わせからなる群から選択した化学反応を促進する請求項4に記載の方法。 請求項6 前記生成物の量、収率特性、特性、または品質の修正は、軽質コーカー軽油の量もしくは収率の十分な減少、ナフサの量もしくは収率の十分な減少、オレフィンガスの量もしくは収率の十分な増加、またはその任意の組み合わせを含む請求項1に記載の方法。 請求項7 前記触媒は、正味の熱が前記コーキング法に付与されるように十分な温度まで加熱される請求項4に記載の方法。 請求項8 前記添加剤の残り成分は別々に導入される請求項7に記載の方法。 請求項9 前記触媒は、別個の配分システムによって導入されるかまたは単独で使用される請求項4に記載の方法。 請求項10 前記添加剤は消泡材料を含有する請求項4に記載の方法。 請求項11 前記添加剤は、触媒を含まず、300未満、好ましくは100未満の分子量を有する蒸気炭化水素化合物の分解反応を急冷する請求項4に記載の方法。 請求項12 前記コーキング法は、ディレードコーキング法、フルードコーキング法、フレキシコーキング法、性能向上または他のコーキング法から成る群から選択される請求項1に記載の方法。 請求項13 水素が前記コーキング法に導入されて、触媒を有する前記添加剤によって起こる触媒反応を増進する請求項1に記載の方法。 請求項14 前記水素は、正味の熱が前記コーキング法に付与されるように十分な温度まで加熱される請求項13に記載の方法。 請求項15 前記水素は、加圧注入によって前記コーキング法に添加される請求項13に記載の方法。 請求項16 添加剤を加圧注入によってコーキング法に使用されるコークス化用容器の蒸気に導入して、前記コーキング法から得た生成物の量、収率特性、特性または量の修正を行う方法であって、前記添加剤は、触媒、播種剤、過剰反応体、急冷剤、キャリア流体またはその任意の組み合わせを含むことを特徴とする方法。
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